時間
時間
……
まだ、何かあるのか?
う~ん……
一樹くん……どうしてるのかなって
放っておいてやれよ。アイツのやりたいようにやらせればいいじゃん?
だけど、心配だなぁ……
じゃぁ、見に行く?
うん!そうだね!
ちょっと、見に行ってくるね
いや!女一人で行くのは何かやべーよ!
なんでー?
襲われちゃう
馬鹿なコト言ってないで
俺達も行こう
「部屋は石田の隣だ」
「アイツ、機嫌悪かったし……何かヤバイって」
「んじゃ、やめる?」
「え~!じゃぁ、私一人で」
「それはダメ!!!!」
「入るよ!!柴野!!」
あ?
な、なにしてるのかなって
……飯作ってんだよ
なんか、すまん!柴野!
つうか、何しにきた!
そもそも、勝手に上がりこむとはなんだよ!
テメェ!!!!!
い、いやぁ!レイちゃんがね!
何か、心配だぁっていうから!
……あぁ?
一樹くん!
なんだよ
学校、明日も来るよね?
いかねーよ。馬鹿か
お前もいい加減、諦めて
コイツの好きにさせてやれよ
でも!!!!!!!
……私の責任だから
一樹くん言ってたよね?原因は私だって
それは、私がここへ一樹くんを召喚したからなんだよね……
……だから、せめて!
楽しい思い出くらいは!
ここへ召喚されて、満更でもなかったなって
どうして、こうもお前の頭ん中はお花畑なのかねー
余計なお世話なんだよ!!楽しい思い出だ!?んなもんいらねーよ!!
柴野……
部屋を借りてくれたのは……ありがてーがよ
……もう、いいだろ。帰ってくれ
……
あちゃー、めちゃ怒ってたねぇ
……悪いヤツじゃないと思うんだ
こっちに召喚されたのが相当、気に食わないらしいな
うん……
あ、もうこの辺りで大丈夫ですよ
時間もアレだし
気をつけて帰りなよ!
はい!
皆さん今日はありがとうございました!
まぁ、柴野の事はあまり気にするな
俺たちの方でもフォローはするつもりだ
ありがとうございます!
……
こんなことしてる場合じゃねーんだよ……
こんなことしてる場合じゃ……
くそ!!!!!!!!!!!
深夜
……
こんばんわー
……
……
こんばんわぁあああああ!!!!!
わぁあああああ!!!!
……んだよ
あの……ちゃんと、謝ろうと思って
いいよ、そんなもん
お前が謝っても……しょうがねぇよ
ですけど、迷惑かけたみたいだし
……一年も拘束されるんだ
迷惑にも程がある
……そうですよね
自由にしたいですよね
そんなんじゃねーよ、馬鹿が
家を離れるわけにはいかないんだよ……
待ってるヤツがいるからよ
俺には……高校生になる弟がいるんだ。
俺と違ってめちゃくちゃ頭いいんだぜ?
昔からそーういうやつだった。
……大学だってすんげぇいいところ行けそうなんだ。
……だが
アイツは俺に言った。
「俺は進学する気はない」ってな。
幼いころに親父を亡くして
母親と俺と弟の三人暮らしだった俺達は
親戚に助けられ、母親の収入だけを頼りに生きてきた時期もあった。
これ以上、金で苦労は掛けたくないってのがアイツの言い分だ。
だけど、今は違うんだぜ!?
俺が仕事に就いて稼ぎも増えた!
それに、奨学金だって借りれるんだ。
金ならなんとかなる!
だが、アイツは聞く耳もたねぇんだよ……
俺と母親に働かせて自分だけ大学なんて行けないってな
だから、もっと働いて、アイツに安心しろ!
って言ってやりてーんだよ俺は!!
アイツは……
ホントは大学へ行きたいんだ
だけどな……
高校時代からずっとバイト漬けの俺を見て
アイツは……
あの……
……だから、もう放っておいてくれ
えっと……
この間、言い忘れてたんですけど
なんだよ
こっちの世界で1年過ごしても
一樹くんの世界に戻ったときには
ほんの一瞬の出来事というか……
実際、一秒も経ってないと言いますか
それって……つまり
はい!
一樹くんが気にしていることは大丈夫だと思います!
……お前
よかったぁ……
先に言えよ!!!!!!!!!!!
隣の部屋
はっ!!!
俺、失踪扱いなんじゃ!!!
つか、デートの約束!!!
更に隣の部屋
ああああ!!!!!!!!!!!
冷静に考えてみたら
一年間も帰れないなんて!!
会社どうなるんだよ!!!
この歳になって露頭に迷っちまうのか
俺は……
つづく