ワガママな女の子

結城レイ

どう?
他の子から隼人くんを切り離してくれた?

石塚賢治

いや、そんなことするわけないじゃないか

結城レイ

えー!なんでー!契約違反でしょ!

石塚賢治

何がだよ!

結城レイ

一年間、私のために全身全霊を捧げるって契約でしょう?

石塚賢治

この間、散々言っただろう?

石塚賢治

俺達はそんな契約してないし、お前のミスでこっちに引っ張られただけなんだ

結城レイ

えーっ!
でも、手伝ってくれてもいいじゃない!

石塚賢治

面倒だっ

結城レイ

そんなぁ……

結城レイ

だけど、他の人は私のために頑張ってるよ?

栗原あや

センパ~イ☆
何か変な人が執拗に絡んでくるんですけどー!

石田弘大

いいじゃん!もうちょっと話そうよ!
センパイより楽しいぜ?俺っ

水上海音

……

檜山千秋

……ほら
もう二人共仲直りしてるから、ね?

柴野一樹

……ちっ

藤宮隼人

ふんっ

結城レイ

ね?

石塚賢治

……いや
アイツら別にお前のためにしてるわけじゃないと思うが

結城レイ

そうなの?

石田弘大

あー!待ってよー!
ホントに俺、退屈させないからー

栗原あや

しつけーですよ

栗原あや

でわでわ、センパ~イ☆
次の休み時間に私とお話しましょうね~♪

藤宮隼人

……おう?

石田弘大

やはり、上手くいかないかぁ

石田弘大

んじゃ、次は

神崎美桜

却下

石田弘大

……

昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。







久しぶりに受ける授業は、かつての高校生活を思う懐かしさと何もかもがアニメの絵という新鮮さが交わり独特の雰囲気を醸し出していた。








俺達はそんな雰囲気の中、それぞれの青春時代の思い出話に花を咲かせて――






いるはずもなく……






依然として、柴野は苛立っていた。





もう、午前の授業はずっと!!

柴野一樹

もう、帰っていいか

檜山千秋

まぁまぁ、そう言わずにさっ

柴野一樹

面倒くせぇんだよ。
なんで、また高校生しなきゃらなねぇんだ

檜山千秋

仕方ないよ。
学校へ通う代わりにアパートの部屋を借りれたわけだし

柴野一樹

そんだけの金があるなら
あの野郎を金で釣ればいいだろうが

石田弘大

うまくいかないから
俺らを呼んだんでしょー?

檜山千秋

彼女が求めてるのは彼の心だよ。
お金でなんとかなる問題ではないと思う

柴野一樹

けっ、なにが心だ
お前も何かアニメのヤツみたいな事いうな

石塚賢治

別に好き勝手やればいいと思うぜ?
俺達は謂わば被害者なわけだしな

石塚賢治

いきなり、こんなとこに呼ばれて恋愛を手伝えだの
そんな義理はねーよって話だ

石塚賢治

むしろ、俺達のためにアイツが何かすべきだと思うがな

檜山千秋

だから、こうして学校へ通えるようにしてくれたじゃないか。住む場所だって

石塚賢治

当たり前のことだろ?それに、学校へ通えるようにしたことに関してはいらないおせっかいだしな

石塚賢治

ただ、手伝わせたかっただけだ
主人公……藤宮隼人たちと同じクラスにしたのもそういう魂胆だろ

石田弘大

俺はもう一回高校生になれて嬉しいぜー?
可愛い子だっていっぱい、いるし

石田弘大

おまけに、その可愛い子たちはみんなアニメのキャラだぜ?これは願ってもないチャンスだと思わない?

柴野一樹

キモいんだよ、お前
そんなもんで現抜かすのは根暗だけなんだよ

檜山千秋

俺達がここに来たのが彼女のミスだとしても
やっぱり、俺は手伝ってあげたいな

石塚賢治

なんで?

檜山千秋

だって、可哀想じゃない?
たった一度しか使えない魔法を失敗してしまったなんて

石田弘大

言っておくけど、俺もあの子を手伝うつもりだぜ?

石田弘大

ヒロインたちとラブラブ出来て、あの子は藤宮とラブラブできて、完璧じゃん!

柴野一樹

なら、勝手にしろよ。気持ち悪い

檜山千秋

何処へ行くつもり?

柴野一樹

帰るんだよ

檜山千秋

君はどうするんだい?
もちろん、何も強要はするつもりはないよ

石塚賢治

え、俺?

石塚賢治

そうだなぁ……

石田弘大

どうせ、一年間暇だろう?

石塚賢治

いやぁ……全くその通りなんだが

石塚賢治

ま、まぁ
どう足掻いても1年はここに居なきゃならないんだし……

石塚賢治

手伝ってやっても……いいかな?

檜山千秋

……そうか

檜山千秋

ありがとう

石塚賢治

結城レイのミスとはいえ……
何もしないで1年を過ごすのもどうかと思う……
だったら、アニメの世界を楽しむのも悪くないんじゃないか?

つづく

pagetop