ワガママな女の子
ワガママな女の子
どう?
他の子から隼人くんを切り離してくれた?
いや、そんなことするわけないじゃないか
えー!なんでー!契約違反でしょ!
何がだよ!
一年間、私のために全身全霊を捧げるって契約でしょう?
この間、散々言っただろう?
俺達はそんな契約してないし、お前のミスでこっちに引っ張られただけなんだ
えーっ!
でも、手伝ってくれてもいいじゃない!
面倒だっ
そんなぁ……
だけど、他の人は私のために頑張ってるよ?
センパ~イ☆
何か変な人が執拗に絡んでくるんですけどー!
いいじゃん!もうちょっと話そうよ!
センパイより楽しいぜ?俺っ
……
……ほら
もう二人共仲直りしてるから、ね?
……ちっ
ふんっ
ね?
……いや
アイツら別にお前のためにしてるわけじゃないと思うが
そうなの?
あー!待ってよー!
ホントに俺、退屈させないからー
しつけーですよ
でわでわ、センパ~イ☆
次の休み時間に私とお話しましょうね~♪
……おう?
やはり、上手くいかないかぁ
んじゃ、次は
却下
……
昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。
久しぶりに受ける授業は、かつての高校生活を思う懐かしさと何もかもがアニメの絵という新鮮さが交わり独特の雰囲気を醸し出していた。
俺達はそんな雰囲気の中、それぞれの青春時代の思い出話に花を咲かせて――
いるはずもなく……
依然として、柴野は苛立っていた。
もう、午前の授業はずっと!!
もう、帰っていいか
まぁまぁ、そう言わずにさっ
面倒くせぇんだよ。
なんで、また高校生しなきゃらなねぇんだ
仕方ないよ。
学校へ通う代わりにアパートの部屋を借りれたわけだし
そんだけの金があるなら
あの野郎を金で釣ればいいだろうが
うまくいかないから
俺らを呼んだんでしょー?
彼女が求めてるのは彼の心だよ。
お金でなんとかなる問題ではないと思う
けっ、なにが心だ
お前も何かアニメのヤツみたいな事いうな
別に好き勝手やればいいと思うぜ?
俺達は謂わば被害者なわけだしな
いきなり、こんなとこに呼ばれて恋愛を手伝えだの
そんな義理はねーよって話だ
むしろ、俺達のためにアイツが何かすべきだと思うがな
だから、こうして学校へ通えるようにしてくれたじゃないか。住む場所だって
当たり前のことだろ?それに、学校へ通えるようにしたことに関してはいらないおせっかいだしな
ただ、手伝わせたかっただけだ
主人公……藤宮隼人たちと同じクラスにしたのもそういう魂胆だろ
俺はもう一回高校生になれて嬉しいぜー?
可愛い子だっていっぱい、いるし
おまけに、その可愛い子たちはみんなアニメのキャラだぜ?これは願ってもないチャンスだと思わない?
キモいんだよ、お前
そんなもんで現抜かすのは根暗だけなんだよ
俺達がここに来たのが彼女のミスだとしても
やっぱり、俺は手伝ってあげたいな
なんで?
だって、可哀想じゃない?
たった一度しか使えない魔法を失敗してしまったなんて
言っておくけど、俺もあの子を手伝うつもりだぜ?
ヒロインたちとラブラブ出来て、あの子は藤宮とラブラブできて、完璧じゃん!
なら、勝手にしろよ。気持ち悪い
何処へ行くつもり?
帰るんだよ
君はどうするんだい?
もちろん、何も強要はするつもりはないよ
え、俺?
そうだなぁ……
どうせ、一年間暇だろう?
いやぁ……全くその通りなんだが
ま、まぁ
どう足掻いても1年はここに居なきゃならないんだし……
手伝ってやっても……いいかな?
……そうか
ありがとう
結城レイのミスとはいえ……
何もしないで1年を過ごすのもどうかと思う……
だったら、アニメの世界を楽しむのも悪くないんじゃないか?
つづく