おとぎの国へ。

03:手がかりを求めて

森には小さな道があり、木々がトンネルのように生い茂っていました。
おじいちゃん達の家への道のりに似ていて、クリフは少し寂しい気持ちになりました。

それに気づいたリノアは、気を紛らわそうと自分が住んでいる場所や好きな物の話をしながら、森を進んで行きました。

リノア

クリフはどんな食べ物が好き?

クリフ

ぼくはチェリータルトとハンバーグがすき!

リノア

チェリー!私も果物が好きなんだー。

クリフ

一緒だね!プラムやブドウも好きなんだよ。

リノア

プラムはを食べたことないなぁ…いつか食べてみたい!
うーんと、私が好きな果物はねー…

キョロキョロと辺りを見渡し、小さな果物をひっぱり採りクリフの方へ差し出しました。

リノア

これ!食べてみて!

渡された果物の大きさは木苺くらいでツヤツヤしていました。
ぱくっと食べてみると甘酸っぱい味が口いっぱいに広がりました。

クリフ

おいしい!ハートみたいな形でかわいいね!

リノア

でしょ~!よくこの森で採るんだ~。

甘いものを食べて元気が出た様子のクリフを見て、リノアはホッとしました。
しばらく歩いていると開いた場所にたどり着きました。

リノア

あっルドルフおじいちゃんのおうちはあっちの方だよー。

指を差しその方向に飛んでいくリノアの後を追うようにクリフも続きました。
すると大きな木の前でリノアはここだよー!と声をかけてながら止まりました。

クリフ

わっ木の家だ!
ここにルドルフおじいさんが住んでるの?

リノア

うん!呼んでくるね!

ルドルフおじいさんの名前を大きな声で呼びながら木の中に入っていきました。
僕はどんな人なんだろうとドキドキしながら木の前で待ちました。

ルドルフ

なんじゃ、うるさいのぉ…

リノア

やっぱり寝てた!もー起きてってばー!
あのね!クリフの帰り方を教えてあげて!!

ルドルフ

くり…なんじゃって?

リノア

クリフ!こっちに迷い込んだ人間!

ルドルフ

うーむ、お前さんの話はいつも突拍子すぎるわい。その客人は今どこにいるんじゃ?

リノア

外で待ってもらってるよ。
クリフーっ!中に入ってきてー!

リノアに呼ばれたので、おそるおそる家の中に入るとリノアと一羽のフクロウがいるだけで、ルドルフおじいさんの姿は見当たりませんでした。

おじいさんはどこにいるんだろうと、リノアに聞いてみると不思議そうな顔をしながら、ここにいるという返事が返ってきました。
どこにいるのかわからず佇んでいると、小さな咳払いと共にフクロウの方向から声がしました。

ルドルフ

オホンッ、ここじゃ。ここ。

クリフ

・・・!
ルドルフおじいさん…?

クリフがおとぎの国に迷い込んでからというもの、驚きの連続でした。
しかし慣れたようで、次の瞬間には妖精がいるのだから、フクロウが人の言葉を喋ってるのも普通のことなのかな、と思いました。

ルドルフ

正しくわしがルドルフじゃ。
それとワシはミミズクじゃ。

クリフ

ご、ごめんなさい。
ふく…ミミズクがしゃべってるのにびっくりして…。

ルドルフ

ほっほ、たまに訪れる客人は皆そう言うのぅ~。気にしなくても大丈夫じゃ。
それで、帰り方が分からないんじゃな?

リノア

そうっ!やっぱルドルフおじいちゃんは頼りになるな♪早く帰り方を教えてあげてよっ!

ルドルフ

お前さんが喋るとややこしくなるから黙っておれ。

リノア

えー!ルドルフおじいちゃんひどいっ!

クリフ

仲いいんだなぁ…

クリフが今までのいきさつを話し終えると、今まで訪れた人たちの事や帰る方法などを教えてくれました。
元の世界に帰るにはゲートをくぐる必要があり、しかしゲートは移動をしているとのことでした。
ただし広範囲に移動しているわけではないので、最近ゲートが開いた場所の付近でまた開くと教えてくれました。

説明し終えると、一つのブローチを咥え持ってきました。

ルドルフ

これを持って行きなされ。
ゲートの場所をこれが教えてくれるんじゃ。
方角はコンパスが、ゲートが近くなるとその小さな鐘が共鳴するんじゃ。

ブローチを受け取ると早速ベストに着けてみました。
これで帰れると思うと嬉しくなりワクワクしてコンパスを見ると、北の方角を示しました。

ルドルフ

ほうほう、北は来た道とは反対側じゃ。
まっすぐ行けば、森を抜けるから道中気をつけて行くんじゃな。

クリフ

うん、わかりました。
教えてくれてありがとうございました!

リノア

うーん、そろそろ喋ってもいいかな…?

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