究極の召喚魔術

栗原あや

……

石田弘大

君、大丈夫?

栗原あや

え?あ、はい

石田弘大

ごめんねぇ。驚かせちゃって
アイツ、悪いやつじゃないんだよ

石田弘大

うん、ただ眠かっただけなんだ

栗原あや

はぁ

石田弘大

ところでさ、君って一年生だよね?

栗原あや

はい、そうですが

石田弘大

やっぱり?前から気になってたんだぁ!
君、めちゃタイプなんだけど

栗原あや

……は?

石塚賢治

主人公がチンピラと奮闘する中、隙を見てヒロインの一人を口説こうとするハーレムアニメの悪の権化のようなこの男。

石塚賢治

……もちろん、こちら側の人間である。

柴野一樹

お前、いけすかねぇんだよ

藤宮隼人

俺だって、アンタみたいな、ごろつきは嫌いだ。できれば関わりたくないんだけど

柴野一樹

だったら、決着つけようや

柴野一樹

ぼっこぼこにしてやっからよ

神崎美桜

アナタねぇ!自分が気に入らないからって

藤宮隼人

いいよ。
それで、アンタの気が済むのならな

藤宮隼人

だけど、その代わり……
クラスのみんなを怖がらせるような真似は

檜山千秋

はいはい。
二人ともそこまで

柴野一樹

んだよ!
邪魔すんじゃねーよ

檜山千秋

まぁまぁ

水上海音

……

檜山千秋

ごめんね。迷惑かけちゃって

檜山千秋

ちょっと、声のボリュームを落としてもらいたかっただけなんだよ

檜山千秋

コイツ、頼み事とかするの苦手だからさっ
あっははは

柴野一樹

うっせ……

水上海音

……

檜山千秋

怖がらせちゃったね。
だけど、もう大丈夫だよ

石塚賢治

……主人公の見せ場を奪い去る
ムードクラッシャーなこの男も言わずもがな”現実”から来た人間である。

石塚賢治

そして何故、こんなことになったのかと言うと

結城レイ

おっはよー!

石塚賢治

……何もかもコイツの責任だ。物語のヒロインの一人であるこの女が珍妙な魔法を行使して我々を召喚したのだ。

石塚賢治

おはよう

結城レイ

おっ!やってるねー!
もう、みんなと友達になれたんだねっ

石塚賢治

掴みはバッチリだなぁ……

彼女の一族には古くから伝わる究極の召喚魔術というものがあった。


たった一度きりしか使えないその魔術は、術者の願いを叶えるために精霊を召喚するというものだ。

本来ならば、彼女の願いを叶える最良の精霊が召喚されるはずであったのだが……










……彼女はヘマをした。



召喚に必要な詠唱を一文すっとばし、最良でも精霊でもなんでもない我々を召喚してしまったのである。





ちなみに、その願いとは

結城レイ

どう?
他の子から隼人くんを切り離してくれた?

石塚賢治

主人公を独り占めしたいというなんともワガママなものだった……

つづく

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