スーパーの中は涼しくて、夜が近づくとまだ肌寒い季節では鳥肌がたつ。
早く買い物を済ませて帰ろうと、遼は買い物カゴをカートに乗せて店内を行く。
まずは野菜を放り込み、次に肉類のコーナーへ。
できるだけ新鮮なものを選んでカゴへ投入。メインのものはあるので、副菜とスープでも作ろうか。
夕飯時ということもあり、奥様方の数が多い。傍らには子どもが一緒の人もいる。
これなら、浩輔も一緒に連れてきてやっても良かったな、と思いはするが、宿題が彼の腰を重くするのだろう。
サクサク買い物をして、会計のためレジ列に並ぶ。
電子音が響く中待っていると、後方から背中を叩かれた。
こんなところで声をかけられるとは思っていなかった。知り合いは近くにいるが、見つけられたとしても挨拶を交わすくらいで、わざわざ声をかけてくる人は珍しい。
いったい誰だと振り返ると、これまた意外な人物。