二人のこんなやり取りが5回程続いた時に事務所の扉が開かれた・・・
フー・・・
桜井のオヤジはまだか?
申し訳ありません・・・
もう直ぐ帰ってくると思うのですが・・・
二人のこんなやり取りが5回程続いた時に事務所の扉が開かれた・・・
帰ったぞ
お帰りなさい!!!
事務所の若い者達は一斉に立ち上がり、頭を下げた。
桜井のオヤジ!
おせぇよ!
信行の事を良く知らない者たちはこの一言に一斉に息を呑んだ。
組長である忠志にこのような口を利く人を知らないのだ。
悪い悪い!
ちょっと道が混んでてな!
まぁ座れよ
とっくに座ってるよ
つーか人払いしてくれ
分かった・・・
忠志はそう言うと周りの者達に合図をして皆を出て行かせた。
部屋には忠志、信行、雄二しか残っていない。
しばらく三人とも何も言わずに静かな沈黙が続いていた。
あ、あの・・・
あぁ、すまん。
まずこれを見てくれ・・・
信行が取り出したのはA4サイズのファイルだった。
まず雄二がそれを受け取り、まじまじと中の書類を眺めた。
すると、驚いたような目をして忠志に急いで渡した。
これは・・・
信行・・・
よくやってくれた!
ありがとう!
特急料金貰うからな!
いつもの倍の50万!
直ぐに用意してやる!
雄二!
全員戻して良いぞ。
金庫番は俺の所に呼べ
はい!
雄二は明るく返事をして急いで外に向かった・・・
・・・
何だよこれ!
こんなに良いのか!?
勘違いするなよ!
新しい依頼だ!
その料金も含めてだ!
次の依頼は大物だからよ!
嬉しそうな忠志とは裏腹に信行はがっかりしたような、嫌そうな顔をして立ちすくんでいた。
しゃぁねぇか・・・
分かったよ・・・
で?何の情報を集めりゃ良いんだ?
よく言った!
市長の中川剛の裏の顔の情報を集めてくれ。
慎重に頼むぞ?
あいつは疑り深いからな
俺に失敗があったか?
心配するな。
三日もあれば簡単に集まる。
待っとけ!
じゃあ俺は帰るよ
おう!
任せたぞ
お疲れ様です!
お疲れ様です!
「お疲れ様です!」
事務所の者達は信行に深々と頭を下げて挨拶をした。
信行は手を挙げてそれに答えて事務所を後にした・・・
明るい顔で事務所を出た信行だったが一歩外へ出ると浮かない顔に変わった。
中川剛か・・・
あいつの裏か・・・
少し難しいがやるしかないな・・・
信行が向かった先は自宅ではなく、この町の一番の繁華街だった。
信行の顔は相変わらず浮かない顔で繁華街をとぼとぼとある所を目指して歩いていた。
あれ?
信行さん!
どうしたんですか?
あぁ。
頼みたいことがある。
大至急だ
はい。
何でもおっしゃってください
信行は雄一郎に耳打ちをすると雄一郎はしっかりと頷いて耳打ちをし返した。
じゃあ頼んだぞ
お任せを!
始めるか・・・
信行はパソコンのスイッチを入れると首を鳴らし、指を鳴らし、背中を鳴らした。
そして深く深呼吸をすると信行の目の色が変わった・・・
彼の名は若宮信行。
そして職業は情報屋、そして・・・ハッカー
続く・・・