Ⅱ 闇に潜むもの①
ウィルバーの様子がおかしいと最初に気付いたのは、三ヶ月ほど前のことだった。
周知の通り、私は新人の会計士として、ウィルバーがグループリーダーを務める事務所へ入った。
私はウィルバーが嫌いだった。
横柄な男だからだ。
顧客からの督促は、すべて私を含めた新人に押しつける。
感謝をされれば、逆に自分の手柄として管理部門へ報告する。
私だけでなく、グループの誰もが、ウィルバーを嫌っていた。
だが、私はウィルバーに気に入られてしまった。
もともと温厚で人当たりが良いといわれる性格だから、無理もないかもしれない。
私はウィルバーと一緒に昼食を取り、職場や町についての、とりとめもない噂話をする仲になった。