僕に出来ること……
僕に出来ること……
うぅ……ケン君……玻璃ちゃん……
なにやっちょんやあ!
早く帰れらんかぁ!
もうこんな時間や!
言いながら、ナオキはグイっと美香の首を絞める
……く
やめろよクソ親父ぃ!
我慢できずに、僕はそう叫んだ。
あああ!?
なにいっちょんやお前!
親に向かってその口のきき方はなんやぁ!
何の力も無いお前は、黙っとれぇ!
……親父、僕に何の力も無い……って?
はあ~!?
なにいっちょんやお前!
あるわけねえやろ!
お前はオレが管理してやらんと何もできへんやないか!
オレの言うこと聞いてればええわ!
……親父さぁ、いつまでも僕を、子供扱いしてんじゃねえよ
あああ!?
僕はもう、高校生だぜ?
親の言うこと聞くだけの年齢じゃあねえよ
それに……僕だって、玻璃さんみたいな能力、持ってるし
はああ!?
なにいっちょんやお前!
んなもんあるわけねえやろ!
いやいや、どうしてそう言い切れるんだよ。
おかしくはないだろ?
なんか知らないけど、美香だって、不思議な力を使ってんだ。
それに、玻璃さんの存在……玻璃さんの身体を奪って力を手に入れた親父……それを考えれば、僕が不思議な力を使えたとしても、おかしくはない
……は、そんなわけあらへんわ!
ま、信じられないのも無理ないか。
玻璃さんだって知らないし、もちろん美香にだって黙ってたからね
…………
…………
そして親父、お前はすでに、僕の手のひらの上……テリトリーの中に入っている……。
気づかなかったのか?
周りを見てみろよ
は、はぁ!?
な、なにいっちょんやお前!
ほんと、間抜けはつらいよな
言って、僕は地面の砂利を軽く蹴飛ばす。
……ッハ……ま、まさか……
そう!
この庭! この敷き詰められた砂利!
これは全部、水晶の欠片さ!
庭に立っている時点で、ここは僕のテリトリー!
だからこそ、玻璃さんに追われたとき、僕は庭に出たんだよ!
なにいいいいい!!!?
僕の能力!
『不動の散乱(アイドリングカウンター)』!
全ての能力は封印される!
この場の者すべて!
美香や玻璃さんの特殊能力!
そしてもちろん、親父が手に入れた不死身の能力もだ!
これから逃れるには!
この庭から出るしか方法はない!!!
全員無能力者になっちまえ!!!!
せっかく手に入れた不死身を封印されたら意味ないやないか!
ここは一旦逃げるわ!
ケンスケ~~~~!!!
覚えてやがれ~~!!
と、ナオキが捨て台詞を吐き
美香から手を離したところで――
ウソに決まってんだろハゲー!!!!!
特殊な能力もなにもない僕に出来ることは、もう虚言で自分を塗り固めるしか方法は無かった。
否。
もう一つ、僕には出来ることがあった。
何の力もない僕でも出来ること。
それは、力のある奴を、信じることである。
さすがケン君は妄想がうまいねー
ナオキから解放された美香は、『こうなること』が分かっていたかのごとく、逃げるナオキの足を軽く手に取り――そのまま地面を転がした!
ぎにゃああ!
さすが美香。
僕の構図通りに動いてくれるね
まぁ、さっきの能力名がいつも言ってるやつと同じだったからね……。
それに、幼馴染なんだから、ケン君の考えくらいすぐ分かるよ
これが僕の超幼馴染である。