僕は、縫姫……いや、親父……否、ナオキに向かって、叫んだ。
え……縫姫ちゃん……?
あぁ!?
なにいっちょんやお前!
オレはナオキや!
ど、どういうことだよ……
縫姫ちゃん……?
縫姫っていやぁ、オレが考えたキャラ名やないか!
きゃ、キャラ名……?
そうや!
オレがこの身体を乗っ取って、新しいキャラ作るために考えた名前やわ!
そんなんも分からんのか!
乗っ取った……って……
そう。
ナオキは、私のバラバラになった身体を、奪った
え……?
おぉ……?
なんやお前、玻璃やないか!
生きとったんかいワレ!
水晶の精霊は、簡単には死なない
っは!
さすがは白い女やなぁ!
このオレが使っとるボディの他を掻き集めて復活ってことか!?
よーやるわ!
私のその身体……不死身の能力、
甘くとろける心の病、
(トリックトリートトルマリン)
『思い出の風鈴』。
返してもらう
はぁ~!?
なにいっちょんやお前!
お前、そのまんまでも不死身みたいなもんやろ!
オレにちょっと不死身の力くれたってええやないか!
ダメ。
あなたは、みんなを不幸にするから。
私は、みんなの幸せを作るために、力を持ってる
ああああ!?
なにいっちょんやお前!
それならオレにも幸せになる権利あるやろ!
あなたは、幸せを奪うことしか、できないの?
はあ~ああ!?
なにいっちょんやお前!
幸せは奪い取るもんやろ!
世の中は幸せと不幸が半分ずつあるんや!
その幸せを奪いあっとるんやぞ!
幸せはなぁ、自分で掴み取るもんや!
なに言ってんだてめぇ!
僕は、縫姫……いや、親父……否、ナオキに向かって、叫んだ。
幸せはなぁ、
確かに自分で掴み取るものだよ!
だけど、奪って良いもんじゃない!
幸せっていうのは……
自分で!
作り出すもの!
生み出すもの!
……言いたいこと全部言われた
んがああ!?
なにいっちょんやお前!
大人に向かって……なにいっちょんや!
……香田君の、言うとおり、幸せは、本来、自分たちで作り出すもの、見つけ出すもの……。
私の存在も、本来は、あってはいけないもの
玻璃さんはそう、呟くように言いながら、
ぞるり、
と、どこからともなく……ダーツを取り出して見せたときのように、今度は大きな、長くて重量感のある、剣を右手に持ち出した。
主人を認めぬ古屋敷、
(ジェイドジエンドジェイデッド)
『自由の楔』
そして、それを軽く振り上げてから、その刀身をナオキに向ける。
この剣は、全てを終わらす。
幸せも、不幸も、全てを消し去って、無に帰す最後の手段
あ、あぁ!!!??
その不死身の力、
(トリックトリートトルマリン)
『思い出の風鈴』をも無効にする。
ナオキ。
アナタには、もう無にしかない
ぐ……
今まで強気の姿勢だったナオキが、初めてそこで、勢いを失った。
後退した。
親父……もういいだろ。
なんかよく分からないけど、僕は、親父が間違ってると思うぜ。
その身体……玻璃さんから奪ったって言うなら、返してやれよ
そーだそーだ!
かーえーせ! かーえーせ!
こいつは絶対、なにも分からんけどとりあえず言ってるだろ……
マジで何をしに来たのか分からなかった。
ぐ……
……っちょんや……あ……ちゃん……っちょん……
ほら! ぶつぶつ何言ってんの!?
ちゃんちょんちゃんちょん何言ってんの!?
たぶん意味も分からず調子にのった美香がナオキに近づく。
と、そのとき、
と、ナオキが、美香の背後に周り込み、両腕を使って美香の首を、締め上げた!
あ……ぐ……
!
…………
…………
…………
美香ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!
がはははははははは!
なぁ~にやっちょんやお前らぁ!!
オレは水晶の力があるからなぁ、こんな小さな身体でも、人間の首くらいならポキーっと簡単に折れるんやぞ!
み、み、み、み、み、
美香ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
香田君うるさい
がははははははは!
美香は人質やぞ!
玻璃ぃ! お前が引かんのならこの子、ぶっ殺してやるわ!
どうなんや!
人を幸せにするのがお前、白い女、水晶の精霊の使命やろ!?
このままやとなぁ……お前のせいで人が不幸になってまうんやぞ!
……クズ
ど、どうすれば良いんだ
許さんぞナオキ!
僕は、どうする?
何もできない、なんの力もない僕は、何をする?