タノミ先生

それでは。今回は妖怪、『から傘お化け』について紹介するわよ。

清志郎君

から傘お化けですか。それなら僕も聞いたことあります。
傘のお化けですよね。

タノミ先生

そのまんまね

清志郎君

そうですね

タノミ先生

「かさ小僧」「かさ化け」「かさお化け」とも呼ばれてるわ

タノミ先生

古くは室町時代の、本家百鬼夜行絵巻にもその姿がある、傘の妖怪、九十九(つくも)神よ!

清志郎君

九十九神?

タノミ先生

簡単に言うと、器物が意志を持って妖怪化したもののことを言うわ。

清志郎君

へー。

タノミ先生

よく伝えられている外見は一つ目に一本足で、長い舌を伸ばしている姿かな?

清志郎君

僕もそのイメージが強いですね

タノミ先生

まあ、目が二つだったり、傘から二本の手が生えているときもあるな

清志郎君

そういわれれば、手があった気もします。

タノミ先生

ただ、ここでひとつ断っておくことがある。

清志郎君

タノミ先生

この妖怪、君みたいなパンピーでも知っているほどの知名度を持っているが……

清志郎君

パンピーってなんだろう? カンガルーの仲間?

タノミ先生

実は、この妖怪にまつわる民間伝承はほとんど存在しないんだ!!

清志郎君

ああ、でもここで聞くとまたチョップが飛んできそうだからいいや。
どうせ死語なんだろうなあ

タノミ先生

はあっ

清志郎君

いたい!

タノミ先生

なんだか失礼なこと言われた気がしたから、つい。

清志郎君

疑わしきは白、ですよお

タノミ先生

私は法の専門家ではないのでね。
生徒が将来社会に出て怪しまれるような人物にならないようにしてやるのも教育だよ

清志郎君

なるほど。つまり先生は教育を受けてこなかったのですね……

タノミ先生

ん!?

清志郎君

なっ、何も言ってないですよ!?

タノミ先生

……まあ、いいや。
ところで話を戻すが。元々、この妖怪にまつわる話はほとんどなく、立ち絵くらいしか存在しないんだ。

清志郎君

え? ってことは、外見以外に特性や習性は……

タノミ先生

公式では、これと言ってないな。

清志郎君

なんでこの妖怪、こんなに有名なんですか?

タノミ先生

何事も外見は大事という良い例だな。

清志郎君

どこの世界もシビアですね……

タノミ先生

ただ私の考えだと、もう一つ要因があると考えている。

清志郎君

へー。どんなのですか?

タノミ先生

知っての通り。
から傘お化けは主に捨てられた傘、忘れ去られた傘が妖怪化したものだろう。

タノミ先生

人間が傘を忘れるのは世界の理!

タノミ先生

そういった人間の後ろめたさが、この妖怪の存在を支えているのだろう。

清志郎君

な、なんですかそのトンでも推理!

タノミ先生

おや、君は傘を失くしたことはないのかい?

清志郎君

ま、まあないわけではないですけど……

タノミ先生

そうだろうそうだろう。
かくいう私も、ひどい時は月に4回失くしたこともある

清志郎君

それは失くし過ぎです。
週に一回のペースじゃないですか

タノミ先生

行く時は雨が降っていたのに、帰りにはすっかり青空に……陰謀を感じるわ。

清志郎君

そんな下らない陰謀、誰がするんですか!?

タノミ先生

傘会社?

清志郎君

訴えられますよ、マジで

タノミ先生

まあそういうわけで、このから傘お化けは今の世まで受け継がれてきたのではないかな?

清志郎君

まあ、今でも有名なのは事実ですし……

タノミ先生

それに、特性なら現代になっていろいろ作られているね。

タノミ先生

私が知っている中では、
傘が回転ノコギリになったり、目からビームを出すから傘お化けもいる!

清志郎君

な、なんだか強そう……

タノミ先生

金曜日の13日に出てきそうではあるな。

清志郎君

先生、それ以上はいけない。

タノミ先生

あとはまあ、傘として他の強力な妖怪に使われているようなイメージもあるな

清志郎君

でもそれ、から傘お化け自体は雨にさらされますよね?

タノミ先生

それが本分なのだから、そいつも幸せだろう。

清志郎君

なぜだろう、その言い方をするとなんだか……

タノミ先生

まあ、Mなんだな

清志郎君

なぜ口に出していうんですか!
僕は抑えたのに!

タノミ先生

冗談だよ。
道具は正しく使ってもらえるのが一番の幸せなんだ。

清志郎君

じゃあ先生。もう傘忘れないでくださいね

タノミ先生

……

清志郎君

……

タノミ先生

次は、人の原罪について勉強するか

清志郎君

失くす気満々!?

参考文献
角川文庫 日本妖怪大辞典 編著村上健司

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