参考文献
角川文庫 日本妖怪大辞典 編著村上健司
それでは。今回は妖怪、『から傘お化け』について紹介するわよ。
から傘お化けですか。それなら僕も聞いたことあります。
傘のお化けですよね。
そのまんまね
そうですね
「かさ小僧」「かさ化け」「かさお化け」とも呼ばれてるわ
古くは室町時代の、本家百鬼夜行絵巻にもその姿がある、傘の妖怪、九十九(つくも)神よ!
九十九神?
簡単に言うと、器物が意志を持って妖怪化したもののことを言うわ。
へー。
よく伝えられている外見は一つ目に一本足で、長い舌を伸ばしている姿かな?
僕もそのイメージが強いですね
まあ、目が二つだったり、傘から二本の手が生えているときもあるな
そういわれれば、手があった気もします。
ただ、ここでひとつ断っておくことがある。
?
この妖怪、君みたいなパンピーでも知っているほどの知名度を持っているが……
パンピーってなんだろう? カンガルーの仲間?
実は、この妖怪にまつわる民間伝承はほとんど存在しないんだ!!
ああ、でもここで聞くとまたチョップが飛んできそうだからいいや。
どうせ死語なんだろうなあ
はあっ
いたい!
なんだか失礼なこと言われた気がしたから、つい。
疑わしきは白、ですよお
私は法の専門家ではないのでね。
生徒が将来社会に出て怪しまれるような人物にならないようにしてやるのも教育だよ
なるほど。つまり先生は教育を受けてこなかったのですね……
ん!?
なっ、何も言ってないですよ!?
……まあ、いいや。
ところで話を戻すが。元々、この妖怪にまつわる話はほとんどなく、立ち絵くらいしか存在しないんだ。
え? ってことは、外見以外に特性や習性は……
公式では、これと言ってないな。
なんでこの妖怪、こんなに有名なんですか?
何事も外見は大事という良い例だな。
どこの世界もシビアですね……
ただ私の考えだと、もう一つ要因があると考えている。
へー。どんなのですか?
知っての通り。
から傘お化けは主に捨てられた傘、忘れ去られた傘が妖怪化したものだろう。
人間が傘を忘れるのは世界の理!
そういった人間の後ろめたさが、この妖怪の存在を支えているのだろう。
な、なんですかそのトンでも推理!
おや、君は傘を失くしたことはないのかい?
ま、まあないわけではないですけど……
そうだろうそうだろう。
かくいう私も、ひどい時は月に4回失くしたこともある
それは失くし過ぎです。
週に一回のペースじゃないですか
行く時は雨が降っていたのに、帰りにはすっかり青空に……陰謀を感じるわ。
そんな下らない陰謀、誰がするんですか!?
傘会社?
訴えられますよ、マジで
まあそういうわけで、このから傘お化けは今の世まで受け継がれてきたのではないかな?
まあ、今でも有名なのは事実ですし……
それに、特性なら現代になっていろいろ作られているね。
私が知っている中では、
傘が回転ノコギリになったり、目からビームを出すから傘お化けもいる!
な、なんだか強そう……
金曜日の13日に出てきそうではあるな。
先生、それ以上はいけない。
あとはまあ、傘として他の強力な妖怪に使われているようなイメージもあるな
でもそれ、から傘お化け自体は雨にさらされますよね?
それが本分なのだから、そいつも幸せだろう。
なぜだろう、その言い方をするとなんだか……
まあ、Mなんだな
なぜ口に出していうんですか!
僕は抑えたのに!
冗談だよ。
道具は正しく使ってもらえるのが一番の幸せなんだ。
じゃあ先生。もう傘忘れないでくださいね
……
……
次は、人の原罪について勉強するか
失くす気満々!?
参考文献
角川文庫 日本妖怪大辞典 編著村上健司