参考文献
角川文庫 日本妖怪大事典 編著:村上健司
角川ソフィア文庫 画図百鬼夜行全画集 著:鳥山石燕
それでは。今回は妖怪、『風狸(ふうり)』について紹介するわよ。
ふうり、ですか。
風鈴の九十九神か何かですか?
夏に重宝されそうな妖怪ね……って違う!
「風」の「狸」と書いて「ふうり」よ。
他にも、「風生獣(ふうせいじゅう)」や「風母(ふうぼ)」とも呼ばれているらしいわね。
その名の通り、狸ほどの大きさをしているそうね。ただ姿は猿に似ていて目は赤くて尾は短く、ヒョウ柄をしているらしいわ。
聞いたことないですね
確かにマイナーな妖怪ね。
でもここではマイナーな妖怪も差別なく紹介していくわ
君には、こんな妖怪もいるんだーってことを知ってもらいたいからね
僕、数えるほどしか知らないですよ
だから、これから知ってもらうの!
はあ……
それに私ね……
?
この妖怪はもっと皆に知られてしかるべきだと思うの!
は、はあ……
それほど、この妖怪は面白い特徴を持っているわ。
まずこの妖怪。
夜に活動するんだけど、木々の間を鳥の様に滑空するの。
ムササビみたいなやつですね
その最大飛距離は山一つか二つ分!
ムササビというか鳥!?
面白いのはここからよ。
この妖怪。人に捕まるとね……
可愛らしい仕草で憐れみを請ってくるのよ
……へ?
こんな風に
可愛らしくてそれでいて、どこか恥ずかしそうにするらしいわ
なんだか……小動物っぽいですね
まあ狸くらいの大きさだし、あながち間違いでもないかもな
そういえば、どの名前にも「風」が入ってますね。
なにか関係あるんですか?
うむ。それはこれから説明しよう。
この妖怪のもう一つの特徴。
それが強い生命力だ!
へえ。どれだけ叩かれても死なないとか?
いや? 叩かれたらすぐに死ぬ
クマムシ!?
ちょっと言い方が悪かったかな?
叩かれると簡単に死ぬが、風が口に当たるとすぐに生き返るんだ
い、生き返るんですか?
また、刃は通らず火も平気らしいな
なるほど。確かに強い生命力を持ってますね
阿部御主人(あべのみうし)は正直に火鼠の皮衣を探すのじゃなくこいつを探せばよかったのかもな
? 何の話ですか?
なに。ただの与太話さ。
いや先生。今までの全て与太話じゃ
シャラップ!!
いたい
あ、でも。骨か頭を砕くと生き返れないらしいわ
なるほど
じゃあ、僕が風狸なら今ので死んでますね
ほう。君の頭は軽いチョップで砕けるのか。
脳みそがつまってない、いい証拠だな。
どれ。補習で詰め直させてやりましょうか
うわわ、冗談ですよう!
ほら、さっきと同じ! 与太話!
都合のいい所だけを真に受ける。
それが大人というものだよ、清志郎君。
反面教師にもほどがあるー!
ああ、あと。菖蒲を鼻につめても生き返ることなく死んでしまうらしいな。
しょ、菖蒲? ですか?
菖蒲は古くから邪気を払う植物とされてきたからな
まあ、そこはやはり妖怪だということだろう
(ああ。菖蒲って植物なんだ。どんな植物なんだろう)
まさか、菖蒲を知らないわけじゃあるまいね?
ま、まさか。そんなことないですよ!
ここで「知らない」なんて言ったらまた話が長くなるから、あとでネットで調べよっと。
まあいいか。
とりあえず、こんな個性ある可愛い妖怪!
妖怪界のマスコットになってもいいと思うんだ!!
まあ確かにそうですね。
少なくとも前のから傘お化けよりは可愛らしいですね。
妖怪界のマスコットになるかは知らないけど
参考文献
角川文庫 日本妖怪大事典 編著:村上健司
角川ソフィア文庫 画図百鬼夜行全画集 著:鳥山石燕