女勇者たち一行と勝負をすることになった勇者たち一行は、町の外で女勇者たち一行と対峙していた。

魔法使い

さて、誰からかかってくる?

魔法使い

全員まとめてってのも面白いね。

剣闘士

ケンカ売ってんのか。

魔法使い

もちろん売ってんだよ、バーカ。

騎士

……。

勇者

お前らやめろ。

騎士

ふん、偽物に指図される言われはないな。そんなに真実がばれるのが怖いか。

勇者様は嘘つきじゃありません!訂正してください!

お姫様というこれまで行いを見ると、偽りとしか思えない身分の姫は、自分のことを棚に上げていった。

私はちゃんと一国の王女です!

私はなにも知らない。

勇者

はあ…。

互いに牽制しあうなか、女勇者が口を開いた。

女勇者

1対1でやりましょう。

魔法使い

はあ?こんなやつら一発で消せるぜ?

女勇者

消してはダメです。一般人に危害を加えてはいけません。

騎士

主がそういうのであれば仕方ない。

魔法使い

ちっ、しらけんな。

つまらなそうな表情をしながら若者は、勇者たち一行の前に出た。

魔法使い

俺が一番手だ。誰から来る?

魔法使い

個人的にはみならい魔法使い様に教鞭をふるってあげたいところだけど。

魔法使い

へー。お調子者が教鞭なんて単語を知ってるなんて驚きだね。

魔法使い

んだと…やる気かてめえ。

魔法使い

いいよ、舐め腐った君の性格を捻じ曲げてちぎってあげる。

最初の勝負は魔法使いと若者の組み合わせとなった。

魔法使い

で、なにで勝負するの?じゃんけん?

魔法使い

子供の遊びじゃねえんだよ

魔法使い

消しはしないが再起不能にはしてやる。覚悟しとけよ。

そういいながら若者は手を振り上げる。

魔法使い

!?

何かを感じた魔法使いは、横に転がるようにその場から離れた。

魔法使いがいた場所には炎が上がり草花を燃やし散らしていた。

魔法使い

はっはっは!無様だな!

心底楽しそうに笑う若者を、魔法使いは驚愕の表情で見つめていた。

魔法使い

なんで人間から魔力が…。

魔法使い

ああ。俺、魔物食ったんだよね。

魔法使い

魔物を食べて生きていられるものなの!?

魔法使い

現に生きてるじゃん。目の前で。

魔法使い

まずかったぜ、あれは。おまけに角まで生えてきやがって、これで化け物扱いだ。

魔法使い

……。

魔法使い

へー。その角、羊のコスプレとかじゃなかったんだ。

魔法使い

まだそんな口が利けるのかよ。

魔法使い

羊さん、あたしがおいしく調理してあげるからね。

魔法使い

オーケーオーケー。そんなに死ぬ思いがしたいみたいだな。

魔法使い

ご所望通り、四肢を焼き尽くしてやるよ。

若者が手を振り上げると炎が上がる。

魔法使いはいまは逃げるしかなかった。

魔法使い

あいつは魔力を使って魔法の力を強化してる。たぶん疲労もたまらない。

魔法使い

警戒すべきは魔法発動の際のモーションか。あれの見極めができればこっちも炎で仕掛けて終わり。

魔法使い

やるしかないかー。

そうつぶやくと、魔法使いは懐から一つのビンを取り出した。

魔法使い

あー飲みたくない。

逃げながら魔法使いはビンの中身を飲み干した。

魔法使い

なんだそれ、それ飲むと強くでもなれんのか?

魔法使い

……。

魔法使い

シカトかよ、ずいぶん余裕だな。

魔法使い

制限時間は5分。それまでに戦闘不能に追い込む。

魔法使い

遺言くらいは聞いてやろうかと思ったけど残念だったな。

余裕そうな笑みをを浮かべながら、若者はまたも腕を振り上げる。

魔法使いは今までと違い、逃げるのではなく避けた。

魔法使い

んなっ。

魔法使い

何とか見える。反応もぎりぎり間に合う。

魔法使い

あと、8m…いや7mかな。

魔法使い

ちい!

若者はむきになったように炎を放つ。

魔法使い

……。

しかし、魔法使いはそれを紙一重で避けていき、確実に若者との距離を詰めていった。

魔法使い

んだこいつ!急に動きが変わりやがった!

魔法使い

あと2m。

魔法使い

んで当たんねえんだよ!

魔法使い

射程圏内。薬ももうそろそろ切れるころかなー。

魔法使い

くっそ!なんで当たんねんえだ!

魔法使い

羊さん、そろそろ終わりにしようか。

魔法使い

くそくそくそ!ぶっ殺してやる!

魔法使い

あー、今なに言ってても聞こえないから後でね。

魔法使い

て、ことで。ばいばーい。

魔法使い

うおあああああああああああああ。

魔法使い

おいしいジンギスカンの出来上がりだねー。

魔法使い VS 魔法使い 勇者たち一行WIN

魔法使い

ただいまー。

おかえりなさい。大丈夫でしたか?

今回もやっぱり何もしなかった姫は、高みの見物をしながら聞いた。

今回は出る幕がなかったでしょう!

私はなにも知らない。

魔法使い

あんなの練習にもならないよー。

魔法使い

ま、遠目の薬が実戦で使えることもわかったし、良しとしますか。

まだ炎が残る戦場跡を見ながら勇者も駆け寄ってくる。

勇者

おい、あいつ死んでないよな。

魔法使い

そんなことしないよー。たぶんあの辺で伸びてるんじゃない?

勇者

お疲れ。ともあれ、無事で何よりだ。

しっかりとねぎらいの言葉もかけた勇者だが、すぐにその顔が曇る。

勇者

ついでにあの二人も止めてくれると助かるんだが。

勇者の向ける視線の先には。

剣闘士

おら!次はわたしだ!

騎士

……斬る。

我先にと前に乗り出す、剣闘士と騎士の姿があった。

魔法使い

勝手にやらせておけばー。

勇者

そうはいかんだろ。

剣闘士

そこのおっさん!勝負しろ!

騎士

……騎士への侮辱は許さない。

騎士

ふん、威勢だけは立派だな。

騎士

よかろう、二人同時にかかって来い。どうせ、相手にならん。

剣闘士

上等だ!ぶった切ってやる!

騎士

……。

勇者

だから、オレの話も聞いてくれよ。

こうして、無事に勝利を収めた魔法使いだったが、依然、勇者たち一行と女勇者たち一行の勝負は続いていくのであった。

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