タキ

……

ミヤ

な、何言って……

タキ

……やっぱりな。お前、
冷静ぶっても結構顔に出るんだよ。

タキ

裏庭にスコップが落ちてた。土を
掘り返した跡もあった。けどお前は
「何もない」と言った。あたしもそれは
そうと思って何も言わなかったが……

タキ

あれを不問とするのは触れたくないから、
掘り起こされたくないからだろ。
前のあたしの死体を。

タキ

半端な怪我はリセットするって言ってたよな。
おおかた心中か殺し合いでもして、
お前だけ生き残ったんじゃないのか?

ミヤ

死んだこと……ってそういう意味。
そんなことじゃないわ。やめてよ……

タキ

じゃあ何のことだ?何で前のあたし以外の
ことは話さねえんだ。避けてるからじゃ
ねえのか?何回も訊いたのに、
当たり障りのねえことばっかり……

ミヤ

それは……そういうことじゃないの。

タキ

じゃあ何なんだよ!屋上から
落とされねえよう怖いなんて言って
出てこなかったり、先に校門から
出たら死ぬかもしれねえからあたしを
囮にしてるんじゃねえのか!

ミヤ

違うわよ。嫌ね……

ミヤ

でも、亡くなった滝沢 多岐が
いたことは事実よ。屋上から飛び降りて。

ミヤ

その子はずっと私に怯えていて……
止められなかった。説得も聞いて
もらえなかった。何がそうさせたのか、
考えてもわからないけれど。

タキ

信用出来るかよ。お前に殺された
記憶でもあったんじゃねえの?

ミヤ

だから、私は誰も殺してなんか
いないわ。言いがかりはよして!

タキ

うるせえ!だったらさっさと
校門から出てみやがれ!

ミヤ

いやっ、ちょっと
押さないで……っ!

タキ

あっ!

ミヤ

ん……

タキ

いたた……

ミヤ

あれ、私どうして倒れてるんだっけ?

タキ

……えっと、なんだっけ。

ミヤ

……まあいいわ。作業を続けましょ。

タキ

お、そうだな!

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