タキ

もしも、なんだ?

ミヤ

……あのね、この
「この光こそが答え」というのが
本当にそのままの意味だったとしたら……

ミヤ

……いえ、やっぱりこれはないわ。

タキ

はあ?なんだよ
言うだけ言ってみろよ!

ミヤ

……わかったわ。
あのね、外に出られないのなら、
忘れてしまうことがあるのなら、こうして
消えないように書きつけておけばいつでも
見返せる、ってことなんじゃないかしら……

タキ

……

タキ

た、たしかにな……

ミヤ

でもこんなのって単純すぎや
しないかしら。もっと
複雑な……いや……

タキ

単純だったからこそ、盲点だったの
かもしれねえな。

ミヤ

え、ええ……

タキ

まあいいや!さっさと脱出しようぜ。
もうちょっとゆっくりしててえけど、
そうもいかねえだろ。

ミヤ

……

タキ

持ってきたぜ。石灰と線引き。

ミヤ

ありがとう、持たせてしまって悪いわ。

タキ

いいよいいよ。お前何か持たせたら
ボッキリ折れちまいそうだもんな。

ミヤ

そんなことないわよ。

タキ

はは。じゃあ、やるか。

タキ

にしても懐かしいよな。白線の上
歩くとか、ガキん頃はよくやったけど。

ミヤ

私はやったことないわね……

ミヤ

あの言葉をそのまま捉えていいのなら、
白線を校門の外まで引いて、目を
つぶって歩いていけば外に出られる……

タキ

ああ。「校門から出る」んじゃなくて
「白線を渡りきる」ことになるわけ
だからな。

ミヤ

嫌味な言葉遊びだわ……。

タキ

線引きは突き飛ばせば慣性で外まで
いくし、こいつは記憶とかないから
改竄されないはずだしな。

ミヤ

……あ、そう。
試す前にひとつ訊いてもいい?

タキ

ん、なんだ?

ミヤ

さっき屋上から戻ってきたとき、
あなたなにか言いよどんだでしょう?
あれ、何だったのか気になって。

タキ

……ああ。

タキ

…………

タキ

お前、死んだことあるだろ?

pagetop