誓約に負けたアマテラスは、スサノオを高天原の神殿に迎え入れた。ウルサイ弟だが、なんだかんだ自分を頼って来てくれたのは嬉しかった。
しかし翌日、アマテラスの部屋に八百万の神々の一人が飛び込んで来た。
誓約に負けたアマテラスは、スサノオを高天原の神殿に迎え入れた。ウルサイ弟だが、なんだかんだ自分を頼って来てくれたのは嬉しかった。
しかし翌日、アマテラスの部屋に八百万の神々の一人が飛び込んで来た。
アマテラス!助けてくれっ!
スサノオが育てた作物を荒らしまくってる!
どうやら調子に乗ったスサノオが、早速問題を起こしたらしい。
しかし誓約でも示された通り、彼はちょっとやんちゃなだけで悪気は無いのだ。
そんな弟のために、アマテラスはすかさずフォローを入れた。
いや、でも ・ ・ ・ スサノオは見た目によらず、可愛いところもあるのよ?
きっと害虫駆除をしてくれてるんじゃない?
と、アマテラスが神力を込めて言霊を発すると、たちまち畑は綺麗に戻り、害虫も消えた。
・ ・ ・ ・ ・ え、あぁ、 そうか???そうは見えなかったんだけどなぁ。
しかし、次の日もまた別の神が部屋に飛び込んで来た。
アマテラスちゃ~ん ・ ・ ・ どうしよぉ??
スサノオくんが田んぼの水路を壊しちゃったの!!しかも、まだお馬さんに乗って、穂の上を走りまわってるんだよ??
お願い、止めさせてっ!
あぁ ・ ・ ・ ・ ・
それはきっと畑を作ろうとしているのね!!
はたけー??
ほら、水路って、けっこー場所使うじゃない??それより畑の方が作物がたくさんできるって、みんなのこと思って ・ ・ ・
いい子でしょ???だいじょぶだいじょぶ。何の問題もないからっ!!!
するとまた、アマテラスの言霊の力で田んぼが畑へと変わった。
ん〜。そ〜だったっけかなぁ??
ま、いっか!
さらに次の日は ・ ・ ・
アマテラス!!大変だっっ!!!!
スサノオの奴、神殿のそこら中に、脱糞しやがった!!!
ダダッッ ・ ・ ダップン!?
・ ・ ・ ・ ・ ダップ ・ ・ ・ ・
臭くて掃除もできねぇよっ!!
え ・ ・ えっと ・ ・ ・ ・ お ・ ・ ・ ・ ・お酒に酔っちゃったのかなっ??
そうねっ!きっとお酒に酔っちゃったのねっっ!それ、ウ●コじゃなくてゲロよ。ゲロ!!大丈夫!なんとかなるっっ!!!
すると今度は、神殿中のウ●コが、ゲロに変わった。
いやぁ、ゲロでもダメだろ ・ ・ ・ ・ ・ ・
このようにアマテラスは、事あるごとにスサノオを神力を使ってかばった。
そんなある日。
アマテラスは、どんどん悪化するスサノオの暴走っぷりに疲れ、気晴らしに機織女たちのいる機織り部屋へ遊びにきていた。
自分でも手を動かし、神事に使う神聖な布を織っていく。久しぶりの単純作業が楽しくて心地よい。
と、その時。
という大きな爆発音と共に天井が抜けたかと思うと、皮を剥がされた馬が落ちてきた。その馬が、パニック状態で部屋の中を暴れまわる。
機織女たちが泣き叫び、外へと逃げ出していく。今までコツコツ織ってきた布も、機織り機も、部屋の壁も柱も全て粉々にして、馬は扉まで壊して外に出て行ってしまった。
一瞬の出来事に、アマテラスは恐怖で部屋の端にちぢこまった。
ガハハッッ!!!ちょ〜慌ててやんのっ!!
おもしれぇー!!!!
スサノオの声だ。
これもまた彼の度が過ぎたイタズラだった。
しかし、スサノオはすぐにどこかへ行ってしまったようで、部屋はシンと静まり返った。
アマテラスが壊れた機織り機や道具が散乱した部屋を見渡すと、誰かが倒れている姿を見つけた。
とてつもなく嫌な予感と共に、恐る恐る近づく。
!!
そこには、機織りの道具が陰部に刺さり、亡くなっている機織女の姿があった。
アマテラスはその場で力なくへたり込んだ。
アマテラスっっ!!!
何があったんですかっ!?
騒ぎを聞きつけたオモヒカネがアマテラスの元へ駆けつけてきた。彼の後ろからも、八百万の神々が、戸惑った様子で駆けてくる。
アマテラス、大丈夫ですか?
私のせいだ ・ ・ ・ ・ ・
何言ってるんですか。
それよりお怪我は ・ ・ ・
私がスサノオを放っておいたから
こんなことに ・ ・ ・ ・ ・
だから、貴方のせいでは ・ ・ ・
違うっ!!
私のせいよっっ!!!
そう叫ぶとアマテラスは何もかも投げ出して、その場から逃げた。
そして、ゴツゴツと大きな岩が広がる岩山へと飛んだ。そこには『天岩屋戸(あまのいわやど)』と呼ばれる、大きな岩のくぼみと岩戸がある。
彼女はそのくぼみに駆け込むと、岩戸をピシャリと閉め、結界を張った。
自分の弟の面倒もみれないくせに、私なんかが高天原のこと治められるわけないよ ・ ・ ・
今までイザナギに言われた通り、高天原の最高神として、努力してきたつもりだったが、その何もかもが無駄に思えた。
アマテラスはその場でうずくまり、子供みたいに泣きじゃくった。