アクロが門の前に着いた頃、カノン以外の他の隊員達は皆、既に集まっていた。
他の隊員達がしているように、戦闘車への荷物の積み込みを行っていると、カノンが隊舎の方から武器を抱えてやって来た。
カノンの武器は腕に装備するタイプの銃砲である。重厚感のある見た目とその外装はとても丁寧に整備されている。長い間、使い込まれているという事実は、銃などの武器に詳しくないアクロでも感じ取れた。
(めちゃくちゃ重そうだけどあれでずっと闘ってるんだよな、隊長は……)
アクロが門の前に着いた頃、カノン以外の他の隊員達は皆、既に集まっていた。
他の隊員達がしているように、戦闘車への荷物の積み込みを行っていると、カノンが隊舎の方から武器を抱えてやって来た。
カノンの武器は腕に装備するタイプの銃砲である。重厚感のある見た目とその外装はとても丁寧に整備されている。長い間、使い込まれているという事実は、銃などの武器に詳しくないアクロでも感じ取れた。
(めちゃくちゃ重そうだけどあれでずっと闘ってるんだよな、隊長は……)
よし、みんな集まってるようだな。任務内容、作戦、各人の役割については現場に向かいながら話す。とりあえず乗ってくれ
そういうとカノンは、運転席に乗り込んだ。六番隊のルークが助手席に、セト、アクロは後方の座席に座った。
戦闘車は、前側に運転席、助手席、後ろ側には向かい合う形で席が二つ付いている。後方、上部、下部には荷物、武器を詰め込む事が出来るようになっている。乗り心地は決して良いとは言えないが、悪路でもかなりのスピードを出して動き回る事が出来るこの戦闘車は優秀である。耐久面もかなり高く、砲弾を外して機動力に特化した戦車ともいえる。
全員が乗りこんだのを確認すると、カノンは勢い良くアクセルを踏み込んだ。
日はしっかり沈み、星もまばらにだが見え始めてきた。
まずは戦力分析も兼ねた自己紹介を軽く行いたい。
カノンは後方に少し目をやり、話を続けた。
六番隊隊長カノンだ。達成任務数四百六十一。武器は装備型銃砲。サブに手榴弾、自作武器等々。今回指揮を任されている。よろしく頼む
話を終えると、次はお前だというように助手席のルークに合図を送る。
はいっ。同じく六番隊所属。ルークです。達成任務数八十六。武器は電子機関銃。電子ライフル。サブに捕獲用麻酔銃、電子ネット等です。よろしくお願いします
ルークは敬礼と共に礼儀正しい挨拶を行った。
こいつの電子銃は威力は実弾より劣るがその分充填の早さと弾速の早さが光る。今回の魔獣には合うかと思って招集した。まだまだ経験は少ない奴だがそこは多めに見てやってくれ
ルークの肩を軽く叩きながら、カノンが説明を加えた。
じゃ次はセト。頼む
セトは頷くと、自己紹介を始めた。
三番隊所属セト! 達成任務数二百五十二。武器は大剣。サブ武器は無しっ。よろしく頼んます!
大柄な体格のセトはそういうと気合い付けに拳を前に突き出した。
カノンがそれに拳を合わせ、説明を加える。
知っての通り三番隊は大剣部隊、セトの武器は付加属性無しの威力特化大剣。魔獣討伐の経験が多いという話を聞いて招集した。でかい一撃に期待している
もちろん、そのつもりで!
セトは自信満々に親指を立てる。
じゃ最後、アクロ頼む
名前を呼ばれるとアクロは緊張した様子で自己紹介を始めた。
一番隊所属アクロです。達成任務数三十九です。武器は剣を使います。サブ武器はありませんが、私はけも……
おっと!それより先はお楽しみにという事で、こいつはルークより任務数も少ないが機動力に感しては一流という話を聞いてな。期待の新人だ。よろしく頼む
そ、そんな。期待の新人だなんて! でも自分に出来る限りの事はやります。よろしくお願いします!
期待されてることへの照れ隠しからなのか声を張り上げてアクロは言った。
隊長。彼女の機動力の秘密というのは一体何なんでしょう
だから後のお楽しみ!俺だって話に聞いただけで実際に見た事は無いからな。説明は上手く出来ん
カノンは何やら嬉しそうな表情を浮かべる。
(なんかハードルが上がってる! 楽しみにされても困るよ……)
アクロは居場所が無さそうに縮こまってしまった。普通にしていても華奢な身体が一段と小さくなる。
その様子に気づいたセトが声を大にして笑う。
ガッハッハッ。期待の新人が小さくなっちまったよ! 隊長どうするんですか! ガッハッハッ
カノンがその様子をバックミラーで確認し、何も言わず笑みを浮かべた。
アクロは縮こまっていたが、いつの間にか自分が、任務前までの緊張感から解放されていた事に気づいた。
(もしかして隊長が気を遣ってくれたのかな……)
そんな事を考えながら、窓の外に目をやると、辺りが砂地である事に気が付いた。
(そういえば砂漠地帯だってレポートにあったな。高低差はけっこうあるみたいだけど)
砂地にタイヤを取られても、車はスピードを落とす事無く目的地へと向かっていく。
暗闇の中、頭上には既に多数の星が光り、地上では怪しげな二つの光が、戦闘車の方に向いている事に気が付いている者はいなかった。