無数の魔物の襲撃を無事切り抜けた勇者たち一行は、なんとか山頂にたどり着いた。
無数の魔物の襲撃を無事切り抜けた勇者たち一行は、なんとか山頂にたどり着いた。
いやー、なんとか無事つけたな。
うおー!山頂ー!
つーかーれーたー。
……。
皆、景色を眺めながら羽を伸ばす。
うわー、いい景色ですねー。
そして、気持ち悪かった姫も追いついた。
なんで思い出させるんですか!
私はなにも知らない。
もう嫌です。
ドンマイ姫。
大体あなたのせいじゃないですか!
姫、もう忘れておけ。
忘れられないから嫌なんじゃないですか!
よりによって、なんであの魔物なんですか…
サンプルがあれしかなかったからね。
サンプル?
あれは魔力を使った薬なの。こないだ倒した魔物の魔力をこっそり取っておいたの。
結構作るの大変だったんだよ。
あんまり聞きたくないんですが。あのキノコの魔物を使ったってことは、あの中に入ってたキノコって。
もちろん魔物の一部だよ。
すると突然姫は岩の影へ走り出し、岩陰で一国の王女とは思えない声を出していた。
冗談に決まってるじゃん。死んだ魔物は跡形も残らないし。
ほどほどにしておいてやれ。
……!
あんたらやるねえ。
一行がもはや恒例となりつつある姫いじりをしていると、突然見知らぬ女が現れた。
誰だ!
ただの通りすがりさ。
久しぶりにこの山の頂上に来たやつらがいたから、挨拶してやろうと思ってね。
魔力を感じるね。
こいつ魔物か!
おいおい、そんな物騒なものだすな。戦う気はないよ。
剣を構える騎士と剣闘士に対して女は慌てることもなく立っている。
……問答無用。
うるせえ!
女は二人の斬撃も優に躱し、余裕の表情をしていた。
だから、戦う気はないって言ってるじゃないか。
こいつ…次は当てる!。
それともまたわたしの手下の相手をするかい?
あの幻覚はお前の仕業か!
そう怒らないでくれ、ほんの暇つぶしさ。
それにしてもあれをよく突破できたね。並の力じゃどうにもならないはずなんだけど。
オレたちは魔王討伐のために旅をしている勇者一行だ!
勇者一行…ふうん。
あははは
女は勇者たちを品定めするように見ると突然笑い出した。
意外とやるみたいだね。面白いじゃないか。
わたしは魔王様に仕える四従士の一人。
ま、せいぜい頑張んな
……逃がさない!
待ちやがれ!
騎士が追撃を仕掛けようとすると、突然空間に穴が空き、女はその穴に消えていった。
……。
くそっ。
四従士か…。
なんかありきたりな設定だねー。
只今戻りましたー。
一行が謎の女に呆気を取られていると、空気の読めない姫がまるで死ぬ寸前のようにふらふらとやってきた。
だからいつも例えがおかしいです!
私はなにも知らない。
姫、今までどこに?
岩陰ですよ、あんな薬飲まされたんですから…。
ちなみに姫、あの薬の液体はあの魔物の体液だから。
う…。
またも岩陰に向かい走っていく姫。
ま、嘘だけねー。
姫の自分勝手で、まったく空気など読まない行動は、もはや称賛に値するほどである。
うるさいです!
私はなにも知らない。
とりあえず、麓に見えるあの町目指して下山するか。
魔王につながる重要な人物との接触をした勇者たち一行(姫を除く)は、山の向こうの街を目指して山を下りていくのであった。