ミヤ

まず。
あなたはこの便箋と、本の山と
塗料が関係あると思ってるのよね?

タキ

そうだよ。けど、あたしは
これを解けないからな。

ミヤ

どうして?

タキ

うーん、解き方がわかっても
あたしには読めないからさ。

ミヤ

……

ミヤ

言い損ねていたけれど。

ミヤ

ひとつ前のタキちゃんには、何故か
最初のタキちゃんの記憶があったの。

タキ

へえ。そりゃ驚いた。

タキ

だったらより一層
わかりやすいんじゃねえか?

ミヤ

……

ミヤ

接着されてる本たちはすべて
ジャンルがバラバラだけど、ひとつだけ
共通点がある。それは、タイトルに
点か長音が使われていること。

ミヤ

この塗料のビックリマークは、
英文モールスでAもしくはN……
この場合、和文モールスのイもしくはタ。

ミヤ

このバラバラなタイトルを
並べられた通りに和文モールスで
読んだらいいの。

タキ

……やればできるじゃねえか。

ミヤ

最初のタキちゃんとね。
「昔作中に出てくる暗号とか
調べて丸暗記したよね」って…
話したことがあったの。

ミヤ

コナン・ドイルの「踊る人形」だとか……
「ダ・ヴィンチ・コード」の鏡文字に
フィボナッチ数列なんかをね。
モールス信号は基礎中の基礎だったわ。

タキ

ねえよ……どんだけ
真面目だったんだお前らは……

ミヤ

まあ、功を奏したということよ。
私の……私たちにある特技の記憶を
前のタキちゃんが持っていたからこそ
出来たことでもあるわ。

タキ

で、そこには何て書いてあるんだ?
ていうか何で和文なんだよ。

ミヤ

さあ。タ、は滝沢 多岐、高宮 雅のタ
だからじゃない?
何にせよパッと見た感じでは英文で
意味を成さないわ。アナグラムかもしれない
けれど。

タキ

うっ……
ついてけねえ……

ミヤ

でも……

タキ

なんだ?

ミヤ

これが答えじゃないみたい。

ミヤ

「裏庭に行け」……
そう書いてある。

タキ

裏庭?そっちは
見に行かなかったな……

ミヤ

私もよ。あなたが
見回るのが早かったから、
調べたものだと思ってた……

タキ

悪かったな、足速いのだけが
取り柄でよ!

ミヤ

いえ、いいのよ。私も
まったく思いついてなかったのだから。

タキ

そっかよ。
じゃあ行くぞ、裏庭に!

pagetop