ミヤ

……というわけなの。

タキ

なるほどな。
やってることは基本的に一緒なわけか……

タキ

今までのループ説だとかは、
前のあたしが立ててきたんだな。

タキ

……なあ、最初の日のことは
覚えてるか?ここに来た日のこと。

ミヤ

えっ……あなたも覚えているの?

タキ

は?んなわけねえだろ、わかんねえから
訊いてんだよ。

ミヤ

あ、ああ、そう……

ミヤ

最初の日、私とタキ……はじめの
滝沢 多岐は、何もない校内を
回ったの。

ミヤ

ただ人がいないだけの校舎……
私達は初対面だったわ。でも、同じ
世界の私達だった。

ミヤ

学校から出られなくて……変だねって
言い合って。お互いの話をして、
ずっとこのままだったらどうしようなんて
笑って、18時になったら急に意識が
遠くなって……

ミヤ

目が覚めたらまた6月10日だった。
……前と違うのは、私は体育館で目覚める
こと、校舎内に謎が隠されていること。

ミヤ

そして、やって来る滝沢 多岐には
前の記憶がないこと――……

タキ

そっか。
そんときの謎はなんだったんだ?

ミヤ

……そうね、たしか
大量に便箋が撒かれていたの。
何も書いてない便箋。どこに
あったんだろう、ってぐらいに。

タキ

便箋か……

タキ

そいつが残ってりゃいいんだがなあ。

ミヤ

残ってるわよ。

タキ

なっ!?

ミヤ

一片だけ、ほら。

タキ

ふ、服の中に……

ミヤ

これなら回収もされないだろうと思ってね。
本当はもう一枚あったのだけど、ひとつ前に使ってしまったのよ。

タキ

はあ?貴重なもんに何してんだよ……

ミヤ

メッセージを残したのよ。
まあ、色々とね。

タキ

もう一枚あったら見比べられるのに……
ったく。

ミヤ

見比べる?

タキ

ああ。これはひょっとするとな……

タキ

って、お前が解かなきゃダメ
なんだったな……

タキ

まあいいや。一旦図書室行くぞ!

ミヤ

え、と、図書室?

タキ

いいか?確かじゃないが……

タキ

この便箋を受け取った前のあたしが
残した謎だ。必ず共通点はある。
考えよう。

ミヤ

……あなたはもうわかっているんでしょう?

タキ

……いや、確実なことはまだだ。
でも、こんなことが出来ちまう
前のあたしには正直びっくりしているよ。

ミヤ

……そりゃあ、タキちゃんだもの。

タキ

お、その言い方じゃあ
あたしには力不足だってことかあ?

ミヤ

そうじゃないわよ。

ミヤ

じゃあ、考えましょう。
便箋、本の山、赤い塗料について……

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