ミヤ

ひときわ大きな『!』……

タキ

……これだけか?

ミヤ

そうね。他には何もないみたい。

タキ

……

ミヤ

どういうことなのかしら。図書室以外の
『!』は気づかせるためのダミーだと
思っていたし、本はモールス信号で
間違いないと思うのだけど……

タキ

なあ。

タキ

この壁、おかしくないか?

ミヤ

ん……そういえば結構
黄ばんでいるわね。
いちばん太陽が当たる側だけど……

ミヤ

まさか、これも仕掛けだと言うの?

タキ

察しが良くなってきたな。
たぶんそういうことだろう……問題は
これがなんなのか、だ。

ミヤ

文字……なのかしら。
薄い黄色インクだし、読めなかったら
意味をなさないように思うけど……

タキ

ああ……
こう、あれが接着面になってて
砂ぶっかけたら読めるようになる、
とかだったらいいんだがなあ。

ミヤ

さすがにそれは……

ミヤ

……

タキ

あん?おいおい、今の
信じたんじゃねえだろうな?

ミヤ

……いえ。
でも、少し……そうね。

ミヤ

たとえばこれが条件付きで
読めるようになる塗料だとしたら?

タキ

条件付き……?
でも、そんな……

ミヤ

もしかしたら、前のあなたは
夜光塗料を作ったのかもしれない。

ミヤ

私に謎が解けなくても、
夜になったら自然にわかるように……

タキ

や、夜光塗料って……
高校生の域を超えてるだろ。

ミヤ

図書室に資料はあるだろうし、
理科室に器具は揃っているだろうから
不可能ではないわ。おそらくね。

ミヤ

本当にすごい。タキちゃんは……

タキ

……じゃあいいから、こいつをどうやって
見るか考えるぞ。このままじゃ
日が照りっぱなしで読めないだろ。

ミヤ

そうね……

ミヤ

ああ、理科室の暗幕をカーテンリールから
おろして縫い合わせるのはどう?
普通のカーテンとも合わせれば天井から
垂らせるし、それで覆えば見られるわ。

タキ

お、いいな。
頭の回転が乗ってきたじゃねえか。

ミヤ

ふふ。ありがとう。

タキ

じゃ、時間もあるし
ぱっぱとやるか。ダメだった時
取り返しもつくしな。

ミヤ

そうね。
じゃあ、行きましょう。
理科室と家庭科室へ。

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