○ 修二の自宅・玄関

シュウジ

ただいま


電気を点ける。

修二の携帯が鳴る。

シュウジ

彩乃だ

シュウジ

もしもし

アヤノ

ごほごほ…

シュウジ

彩乃?どうした?

アヤノ

あ…ごめん。ちょっと風邪引いちゃって…ごほ

シュウジ

大丈夫?

アヤノ

うん…まだ引き始めだから寝てれば治ると思う

シュウジ

暖かくして寝るんだよ?

アヤノ

はい

アヤノ

あ、それでね明日のデートなんだけど…行けそうにない…

シュウジ

何言ってるの、安静にしてなきゃ

シュウジ

デートは元気になってからすれば良いし

アヤノ

…ごめんね

シュウジ

気にしなくて大丈夫だよ、風邪引いてるんだし

アヤノ

ありがとう…

シュウジ

安静にしてね〜

アヤノ

うん

アヤノ

……

シュウジ

どうしたの?

アヤノ

んと…あのね…

シュウジ

??

アヤノ

私のこと、好き?

シュウジ

え?何、急に

アヤノ

好き??

シュウジ

好きだよ

アヤノ

えへへ、私も〜

アヤノ

ちょっと寂しくなっちゃって

アヤノ

早く風邪治すね。おやすみ〜

シュウジ

おやすみ〜

ピッ


通話を切る。

シュウジ

風邪引いた彩乃いいな

#06「ティラミス」

○ 修二の自宅・台所


夜。

シュウジ

明日、彩乃が好きなティラミスでも作ってお見舞いにでも行こうかな。


【ティラミスを作る その1】

コーヒーを濃いめで作っておき、冷ましておく。


冷めたらブランデーを少量加えて香りを足す。


ビスケットを細かく砕く。


ボウルに生クリーム、砂糖を入れて混ぜる。


ツノがたつ程度まで泡立てる。


クリームチーズをなめらかになるまで混ぜる。


泡立てた生クリームとクリームチーズを合わせて、切るように混ぜる。


砕いたビスケットを深めのタッパーの底に敷き詰めていく。


先ほど作ったブランデー入りのコーヒーをビスケットにかけて、平らにならしていく。
※一番底の部分は少し水分量を少なめにするのを意識して下さい。上に何層も重ねていくので最終的に底の方に水分が降りていきます。


ビスケットの上に、クリームを広げ、表面を平らにならしていく。


再び、細かく砕いたビスケットを敷き詰めて、コーヒーをかけて平らにならしていく。


残りのクリームチーズを混ぜた物をかけて、平らにならしたら冷蔵庫で冷やす。

シュウジ

あとは食べるときにココアパウダーを振って完成…と

シュウジ

よし、これで準備はOK

○ 駅前


翌朝。
修二が歩いている。

シュウジ

シュウジ

一応、メール送っておくか

○ 隣駅・駅前


携帯が鳴る。

シュウジ

もしもし?

アヤノ

メール読んだんだけど

シュウジ

今、駅に着いたよ

アヤノ

はやっ

アヤノ

わかった、できるだけゆっくり来て

シュウジ

なんで?

アヤノ

いいから!!

シュウジ

??

シュウジ

え?何、浮気?!

アヤノ

違う!!

アヤノ

寝汗かいて汗臭いから、シャワー浴びる時間が欲しいの!

アヤノ

あと部屋散らかってるから!

シュウジ

あ、そういうこと

アヤノ

またマンションの下に着いたら電話して

シュウジ

はーい


移動する修二。

○ 彩乃のマンション・外観


彩乃のマンションに到着する修二。
ケータイをかける。

シュウジ

着いたよー

アヤノ

上がってきて大丈夫よ

シュウジ

了解〜

○ 彩乃のマンション・玄関

チャイムが鳴る。

玄関の扉が開く。 

アヤノ

はーい

シュウジ

おはよう

アヤノ

おはよう

シュウジ

あ、良かった

シュウジ

大分、顔色良いね

アヤノ

大丈夫だって風邪気味なだけだったから

シュウジ

ま、今日一日安静にしておいた方が良いね

アヤノ

とりあえず、上がって

シュウジ

お邪魔しまーす


玄関が閉まる。

○ 彩乃のマンション・廊下

シュウジ

あ、冷蔵庫借りていい?

アヤノ

冷蔵庫?

アヤノ

いいけど、なんで

シュウジ

お土産作ってきたんだけど、ちょっと溶けちゃってるかもしれないから冷やさないと


修二がクーラーバッグを見せる。

アヤノ

え、何作ってきたの?

シュウジ

まだ内緒

アヤノ

えー

シュウジ

じゃ、冷蔵庫借りるねー

シュウジ

彩乃はほら、早くベッドに戻って

アヤノ

はーい

○ 彩乃のマンション・ダイニングキッチン


クーラーバッグからティラミスの入った容器を取り出す。


ティラミスを冷蔵庫にしまう。

シュウジ

あれ?寝てないし

アヤノ

え、だって、さっきまで寝てたし

シュウジ

じゃあ、また寝て

アヤノ

えー

シュウジ

えーじゃないし

シュウジ

返事は?

アヤノ

……


修二が彩乃に近づいて見つめる。
思わず目をそらす彩乃

シュウジ

へんじは〜?

アヤノ

……はい


目をそらしたまま答える彩乃。
顔が赤い。

シュウジ

よろしい


修二がぽんと彩乃の頭を撫でる。

シュウジ

あ、顔が赤い…

シュウジ

やっぱり熱があるんじゃ…


更に修二の顔が近くなる。

アヤノ

だっ…だいじょうぶ。
あと風邪移るからあっち行け!

アヤノ

しっしっ


恥ずかしさのあまり慌てて、修二を遠ざける彩乃。

シュウジ

しっしっ…って

○ 彩乃のマンション・寝室


寝ている彩乃。

シュウジ

ふふ…


 寝顔を見て微笑む修二。

○ 彩乃のマンション・外観


お昼過ぎ。 

○ 彩乃のマンション・寝室

シュウジ

……


本を読んでいる修二。

アヤノ

…ん

シュウジ

??

シュウジ

起きた?

アヤノ

ん…起きた

シュウジ

ほら、これでちょっと汗拭きな


修二がタオルを彩乃に渡す。

アヤノ

ありがと

シュウジ

どう?具合は

アヤノ

大分良くなった…

アヤノ

…気がする

シュウジ

熱測ったら?

アヤノ

そうする

シュウジ

甘い物とか食べられそう?

アヤノ

甘い物?…うん

シュウジ

じゃあ、ちょっと準備してくるから、熱測っといてね

アヤノ

はーい


修二が立ち上がり、台所に向かう。

○ 彩乃のマンション・ダイニングキッチン


【ティラミスを作る その2】
ティラミスの仕上げ。
ティラミスを冷蔵庫から取り出す。

シュウジ

うん、いい感じ

シュウジ

さて…

シュウジ

お皿、お皿と…


お皿にティラミスを盛りつけ、上からココアパウダーを振る。

シュウジ

よし、おっけー

シュウジ

お待たせ

シュウジ

熱は〜?

アヤノ

36度2分

シュウジ

あ、熱下がったみたいだね

シュウジ

良かった良かった

アヤノ

それはもしや…


彩乃が修二が手にしている物に気づく。

シュウジ

彩乃の好きなティラミスです

アヤノ

やったー

シュウジ

はい


彩乃にお皿を渡す。

アヤノ

ありがと

シュウジ

デート行けなかった代わりね

アヤノ

ちゃんと埋め合わせするね?

シュウジ

大丈夫だよ、今日は彩乃とのんびりおうちデートできたし

アヤノ

えー…デートというか、私は寝てただけ…

シュウジ

じゃあ、今度どっか旅行に行こうよ。
2泊3日ぐらいで

シュウジ

行きたいところピックアップしといて

シュウジ

それで今日のはチャラね

アヤノ

えー

シュウジ

へんじはー?

アヤノ

はーい

アヤノ

ね、食べて良い?

シュウジ

あ、ごめんごめん

シュウジ

どうぞ召し上がれ

アヤノ

わーい

アヤノ

いただきまーす

シュウジ

いただきます

アヤノ

おいしーーー


満面の笑みの彩乃。

アヤノ

やっぱり、修二の作るティラミスは美味しいね!

シュウジ

ふっ


修二が笑う。

アヤノ

何よ〜

シュウジ

いや、元気になったみたいで良かったなと

アヤノ

そりゃ元気になるわよ

アヤノ

好きな人に看病してもらえて…

アヤノ

美味しい物まで作ってくれるなんて

シュウジ

え?なんて?

アヤノ

2回目は言わない!


ティラミスを口に運んでもぐっとする彩乃。

シュウジ

彩乃

アヤノ

ん?

シュウジ

好きだよ

アヤノ

!?


彩乃の顔が真っ赤になってむせる。
慌てる修二。

シュウジ

だ、だいじょうぶ!?

アヤノ

修二のバカ

第6話 おわり

・*°☆今回の材料一覧☆°*・

*ティラミス(2~3人前)
 クリームチーズ…100g
 生クリーム…100cc
 砂糖…大さじ2
 ビスケット(マリービスケットなど)…12~15枚
 コーヒー(濃いめ)…50㏄程度
 ブランデー…お好みで
 ココア…適量

シュウジ

次回の料理彼氏第7話は
7月10日(金)に公開予定です。
お楽しみに!

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