荒野を抜け、目的の村に着いた勇者たち一行は宿を探していた。

やっとベッドを使って寝れるんですね。

勇者

オレはどこでもあんま変わんないけどな。

魔法使い

お風呂とかもあるといいなー。

剣闘士

メシがうまいとこがいい!

騎士

……。

勇者

お、ここみたいだな。

らっしゃい!旅の方かい?

勇者

ああ、部屋空いてるか?

もちろんだ!5部屋でいいかい?

勇者

いや、なにぶん持ち合わせが少ないからな。5人泊まれる部屋はないか?

5人はきついな。どの部屋も寝床が足りない。

勇者

いや、5人入れればいい。

寝るときはどうするんだ。

勇者

オレは床でいいよ。

剣闘士

わたしはメシが食えればなんでもいい。

それでいいならあるぞ。他になにかほしいものは?

魔法使い

お風呂!

わかった。じゃあ、上の階だ。

ゆっくりしてってくれ。

ああ!ベッドです!ふかふかです!

魔法使い

お風呂もきれいだね。

剣闘士

メシはどこだ!

騎士

……。

勇者

なんで歩いてる時より元気なんだ、みんな。

部屋に入った一行は皆それぞれくつろぎ始めた。

騎士様、ここにはどれぐらい滞在するんですか?

ベッドで寝転がりながら偉そうにしている姫は、下僕に指示をするかのように聞いた。

なんでそんな悪い印象なんですか!

私はなにも知らない。

勇者

明日出発かな。

早すぎはしませんか?

勇者

できる限り早く出発したいしな。

もうちょっとゆっくりしたいです。

勇者

うーん…じゃあ2泊くらいするか。

やったー!ありがとうございます!

世界が危機に瀕しているというのに、自らの休養を優先させるため、わがまま姫は世界の救済を2日遅らせた。

私が諸悪の根源みたいに言わないでください!

私はなにも知らない。

勇者

じゃあ、明日は自由行動で。

こうして勇者たち一行の初めての休暇が始まった。

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