翌日、王子様ロジャーは、昨日の朝と同じく、俺を迎えに来てくれた。朝御飯を共に食べるためだ。
服装は、品評会が終わってもスーツのまま。彼いわく、宣伝のために着たままにしているらしい。
俺も彼にならい、スーツ姿のままで外に出た。
近くの食堂で、ロジャーは昨日と変わらず、他愛ない話をしながら朝食をとっていた。
昨日の今日だ、少しは品評会の話をするかな、とも思ったが、全くと言っていいほどしない。
それは、不自然すぎるほどでもあった。
食事中に騒いでいるのは、周りの人たちだった。こそこそと、ほら、あれがロジャーよ、と言う女性の声、にこにこと話しかけてくる年配の男性、サインをねだる青年、遠目から写真をとるゴシップ――ロジャーは微動だにしない。
気にしているそぶりもないし、俺にたいしてどうこう言うこともない。
ようするに、慣れているのだろう。そのことにびっくりしながら、周りの視線がいたくてそわそわしている俺に、ロジャーは食後、気がついたようだった。