久米瑠子(くめるこ)

ご、ご注文は以上でよろしいでひょう…しょうか

久米瑠子(くめるこ)

しょれ…それでは少々お待ちください

工藤玲(くどうれい)

…なんていうか危なっかしい子ね

高橋るい(たかはしるい)

研修中の子なのかもしれないわね

工藤玲(くどうれい)

まあ、それはいいとして

工藤玲(くどうれい)

多喜男君、今日はほんとにありがとね

中村多喜男(なかむらたきお)

いえ、ただ書類を整理しただけなので

高橋るい(たかはしるい)

そんなことないわよ、すごく助かったわ

高橋るい(たかはしるい)

お礼も兼ねてるんだから好きなもの注文してよかったのに

中村多喜男(なかむらたきお)

コーヒーセットを注文させてもらいました、これで満足です

工藤玲(くどうれい)

いいなー、るい私もケーキ食べたいー

高橋るい(たかはしるい)

あなたは巻き込んだ人間でしょうが、会計が私持ちなだけ感謝しなさいよ

中村多喜男(なかむらたきお)

………

高橋るい(たかはしるい)

ん?どうしたのこっち見て

中村多喜男(なかむらたきお)

あ、いえ

中村多喜男(なかむらたきお)

その、なんかさっきと少し雰囲気変わったなと思いまして

高橋るい(たかはしるい)

ああ、実はメガネは伊達なの。昔、就活の時少しでも真面目そうに見えるようにかけてたんだけど

高橋るい(たかはしるい)

それ以来、会社じゃ外そうにも外せなくてね

工藤玲(くどうれい)

ちなみに私はコンタクト入れたの。眼鏡のほうが知的に見えるでしょ

中村多喜男(なかむらたきお)

ははは

工藤玲(くどうれい)

ところでそんなこと聞くってことは多喜男君は眼鏡属性の子なのかな

中村多喜男(なかむらたきお)

いや、別にそういうわけでは

工藤玲(くどうれい)

じゃあ眼鏡のるいと今のるい、どっちがかわいい?

中村多喜男(なかむらたきお)

えいや、あ

工藤玲(くどうれい)

そう、好みではないと…

中村多喜男(なかむらたきお)

そんなことないです。大人らしくてとても綺麗です

高橋るい(たかはしるい)

そんなこと言わなくていいのに

中村多喜男(なかむらたきお)

高橋るい(たかはしるい)

……

中村多喜男(なかむらたきお)

……

久米瑠子(くめるこ)

お、お待たせしました

久米瑠子(くめるこ)

コーヒー3つとセットのケーキです

久米瑠子(くめるこ)

ご、ごゆっくりどうじょ…どうぞ

高橋るい(たかはしるい)

……いただきましょうか

中村多喜男(なかむらたきお)

そういえば、困っていると言っていましたがなにがあったんですか?

中村多喜男(なかむらたきお)

あ、話しづらいことでしたか

高橋るい(たかはしるい)

ああ、いいわよ別に

高橋るい(たかはしるい)

ちょっと気分のいい話ではないけどね

高橋るい(たかはしるい)

私と玲はもともと本社で事務として働いてたの

工藤玲(くどうれい)

あのままいってれば順風満帆、大きな苦労もなく生活できたのにねー

工藤玲(くどうれい)

あの上司のせいで…

中村多喜男(なかむらたきお)

……

高橋るい(たかはしるい)

まあ、陰口のようになってあまり気乗りしないけど

高橋るい(たかはしるい)

そこの人事部の上司が女好きでね、いろんな部署の新人社員の子たちにセクハラまがいのことばかりしていて

高橋るい(たかはしるい)

皆も困っていたようだったから何度も言ったんだけど、改善の余地が見えなくて

工藤玲(くどうれい)

仕方ないから、上の者にこの件について話すって言ったのよ

工藤玲(くどうれい)

そしたら私とるいをあいつの独断で他部署に飛ばしたのよ!?

工藤玲(くどうれい)

事務所までしっかり変えて隙がないったら

高橋るい(たかはしるい)

そんなわけで私たちはあの事務所で本社からくる雑務をやっているの

高橋るい(たかはしるい)

ま、あの人の顔を見なくてもいいってところは喜ばしいことなのかもしれないけどね

工藤玲(くどうれい)

でも、新しい事務所の上司がてんでダメだから私たちの仕事量が日に日に増えてってるのよ

工藤玲(くどうれい)

だからスカウトさせてもらったわけ

中村多喜男(なかむらたきお)

………

高橋るい(たかはしるい)

ごめんなさい、気分を害すような話をしてしまって

中村多喜男(なかむらたきお)

あ、いえ

中村多喜男(なかむらたきお)

お二人は悪くないです。良くない行いを注意する。それはすごくえらいと思います

高橋るい(たかはしるい)

ありがとう

工藤玲(くどうれい)

しかも聞いてよ。そいつ私たちにはセクハラなんてしなかったのよ

工藤玲(くどうれい)

事務所が変わったあと本社の子に聞いたら、私はタイプじゃなかったとか言いやがるのよ!

工藤玲(くどうれい)

あんな奴土下座したって私の体なんか触らしてやらないっての

工藤玲(くどうれい)

るいは真面目な堅物で苦手だって言ってたらしいし

工藤玲(くどうれい)

社員はお前の奴隷じゃねーっつーの

高橋るい(たかはしるい)

この辺にしておきましょう、これ以上はただの愚痴になっちゃうわ

工藤玲(くどうれい)

いや!私は納得がいかない!私の美貌がわからんのか!なあ、多喜男君!

中村多喜男(なかむらたきお)

え!?いや、僕はすごく綺麗だと思います

工藤玲(くどうれい)

………

工藤玲(くどうれい)

そこまではっきり言われちゃあ照れちゃうなあ、ははは

高橋るい(たかはしるい)

いい人が見つかってよかったわね

工藤玲(くどうれい)

ちょっと茶化さないでよ

高橋るい(たかはしるい)

いいんじゃないの?真面目でいい子よ、彼

工藤玲(くどうれい)

さっきの仕返しのつもり?

中村多喜男(なかむらたきお)

あ、あの!ちょっとすいません…

高橋るい(たかはしるい)

ああ、はい…

工藤玲(くどうれい)

…いってらっしゃい

高橋るい(たかはしるい)

逃げちゃったわね

工藤玲(くどうれい)

さっき照れてた人が何言ってんだか

高橋るい(たかはしるい)

うるさい

中村多喜男(なかむらたきお)

はあ、今日の僕はなんであんなこと言っちゃうんだろう

女神ちゃん

モテ期の力のおかげです

中村多喜男(なかむらたきお)

えええええ!!なんでこんなところに!?

女神ちゃん

私はあなたの恋を助ける「天使のコスプレをしてもらいたいランキング5年連続1位」の

女神ちゃん

女神ちゃん!

女神ちゃん

ですよ。あなたのいるところならたとえ日の下家の中

中村多喜男(なかむらたきお)

ここ男子トイレなんだけど

女神ちゃん

お兄さんみたいなヘタレ男子なんかいてもいなくても変わらないので平気です

女神ちゃん

それにしても、モテ期の力がいい感じに働いてますね

女神ちゃん

普段のお兄さんなら絶対言えないような歯の浮くようなセリフもぽんぽん出てきますね

中村多喜男(なかむらたきお)

恥ずかしいから言いたくないんだけど

女神ちゃん

何言ってるんですか!

女神ちゃん

彼女たちはお兄さんのセリフによって何かしら感情の揺れがあります

女神ちゃん

うまくいけば二人ともお持ち帰り…なんて

女神ちゃん

うわっ、なんて変態なんですかお兄さんは!

中村多喜男(なかむらたきお)

なにも言ってないだろ!

女神ちゃん

ともかくアクションも起こせてきましたね

女神ちゃん

でも、まだまだ出会えるはずの女の子はいます。もっといろんな子に話しかけてみましょう

中村多喜男(なかむらたきお)

そんなナンパみたいなことできないよ

女神ちゃん

なんでこうヘタレな部分は改善されないんですかね

女神ちゃん

とにかく!困ってる女の子には声をかけてみるのです!

中村多喜男(なかむらたきお)

そんな人そうそういないよ

女神ちゃん

ま、モテ期の力があれば問題はないでしょう

女神ちゃん

では、お兄さん引き続き頑張ってください

女神ちゃん

ああ、あと私が食べたパフェの御代お願いしますね

中村多喜男(なかむらたきお)

なにそれ!

中村多喜男(なかむらたきお)

…今回はドアから出て行った

中村多喜男(なかむらたきお)

……はあ

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