場所は変わり、オフィスビルの一室。

一人の女性がデスクに座り、PCに向かって話していた。

被験者Fは被験者Iと接触しました。

そうですカ。オモった以上に早い接触でシたね。

迂闊でした。被験者同士が同じ学校にいるとは思わなかったので。

監視自体を怠っているワケじゃないでしョ。

そうなのですが、監視者同士の連絡が取れない以上はこのようなケースも避けられないかと思われます。

監視者同士の情報収集はワタシの役目デス。ワタシの不手際ですから気に病むことはありませんヨ。

はぁ。


会話している相手は思った以上に落ち着いているようだ。

それで被験者Fの監視と育成プランについてなのですが。

プランを変更するのデスか?

はい。順調にプランF178まで完了しましたが、被験者Iと接触があった以上はプランF179からF256までスキップしたほうがよろしいかと。

……そうですネ。ですが被験者Fの能力を踏まえてプランF200から進めることを提案シマす

解りました。ではキャロットにもそう伝えておきます。

宜しくお願いシマす

通信が途切れるのを確認して女性はため息をついた。

ふぅ。暫らくは母親ごっこもお休みね。被験者Yが動いていないようだから、こっちも様子見といきましょうか。


スマホを取り出し、何やらメッセージを打って送信した。

さて、監視室でコーヒー飲みながらといきましょうか。


マグカップとミルクのポーションを持って別室に移動した。

照明が消され暗くなる…























コンクリート打ちっぱなしの部屋。

一人の男性がロッキングチェアに座り、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して独り言のように喋っていた。

FとIの接触は予定していたよ。

そうでしたカ。そのように誘導したのでワ?

いんや、Iの方から動いたようだよ。私は何もしていない。

ホウ。あなたの事だからてっきり入レ知恵したのでワと思いました。

私はただの監視者さ。下手に梃入れしたらそれこそ雑味が加わり今後に問題が発生するだろ。

ヨロしい。そこを守っていただカないと困りマス。

もちろんだ。それよりもプランについては?

被験者FについてはプランF200までスキップです。Iはどうしマスか?

現状維持が妥当かな。特に急ぐ必要も無い。こっちはプランI212までは完了しているから。

そうでしたカ。貴重なサンプルなので無茶をしないようにしてくだサイ。

わかった……。ところでYはどうなっている?

今のトコロ動向は無しと思われマス。接触もナシ。プランY95で行き詰ってイルようですが。

むしろ、そっちの梃入れをしたほうがいいんじゃないのか?

監視者フォーはこのままでいいといっておりまシタ。近いうちにプランY135までステップ可能だト。

そうか。年寄りの余計な詮索だったようだな。じゃあ、そろそろ戻らせてもらうよ。

わかりまシタ。お仕事頑張ってくださいネ。

通信が途切れたようである。男は立ち上がりHMDをはずすと

忌々しい若造め。老いぼれがただ監視していると思っているのか?

と吐き捨て、エレベーターに向かった。


















壁周囲が機械で埋め尽くされた部屋。

中央に3つのモニターがそれぞれ背を向けるように設置されている。

状況は著しくないようダナ。

『現状のプランで動くのには問題ナイ。』

(だがシカシ、リミットがあることもわすれるナ。)

監視者の腕時計で各々が自覚していル。

どこかで全てのプランを修正する必要がアルな。

Yをどちらかにセッショクさせるのはどうか?

プランに支障をきたすリスクがあるとオモウが。

われわれで演算したケッカ、78%否決と出たハズだ。

このままでイルのもどうかとおもうゾ。

モウ一度演算してミルか?

ワカった。

急激にファンの音がし始め、周囲を響かせる。

仮想育成フェーズ1完了。

仮想育成フェーズ2も終わっタ。

……仮想育成フェーズ3……できタ。承認65%否決20%破棄15%

これでキマりだな。

すぐに監視者フォーに通達ダ。

わかっタ。

ファンの音は鳴り止み、静かな部屋に戻った。

現存する

全ての事象を

虚無へ















F-4 ナニヲコソコソトヤッテイル?

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