『Re:』
第三話 「B地区の攻防」
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第三話 「B地区の攻防」
あと、1kmでB地区だ!
健闘を祈る
来たわよ! 配置について!!
駆除が始まった。
新兵も訓練の成果を存分に発揮し、
駆除は順調に終わるかに思えた・・・
ぐっ! やばい!スーツにヒビが!!
パワードスーツの故障、異常を訴える者が、
時間を追うごとに増え、駆除開始から
凡そ1時間で、30人いたパワードスーツ要員全てが、
再起不能になってしまった。
パワードスーツ要員は全滅したわ~
どうする?
残りのインセクト数えたら500体と
少しだけど・・・
私達二人でやるしか無いわ、
もうひと頑張りして頂戴
ランチ奢ってくれたら
頑張らなくもないけど~?
四の五の言わずにやりなさい
はぁ~い(笑)
っなーーーー!
一気に何とかならない
ものかしらねーーー!!
もう少しだわ!
インセクトのハッチが開いて部品にされた
人間が顔をのぞかせた。
部品は70歳位の男性だった。
ああああああ・・・痛いいい・・・
苦しい・・・助けてくれえええ!
構ってないで早くして
次のが来るわ
はぁい
今そっちで相手してるのがラスト?
ええ、これで最後みたい
100km圏内にインセクトの反応が無いわ
お・・・姉ちゃん・・・助けて・・・
お母さん・・・お父さん・・・
痛いよお・・・
ブルー、今の記録してた?
あとで、パワードスーツ
要員候補生にちゃんと見せておいてね
りょぉーかぁーい
毎年これで、ゲロしちゃう子が
いるのよね~
駆除終了!
帰還するわ!
パワードスーツを回収するわよ!
人使い荒ぁ~い(笑)
・・・
B地区の駆除を終えた私達は、
日本国にある基地に帰還した。
これは、クレームものね・・・
今までのパワードスーツの中でも
あまりにも作りがひどいわ・・・
でも、何故かしら?軍の資材は十分な筈よ?
さぁ・・・強いて言うなら・・・
私達(半人半機)への嫌がらせかしらね・・・
あ~納得~
ウチらだけで駆除に行けって意見の人たちの
意地悪か~
パワードスーツ要員の新兵には
悪いことをしてしまったわ・・・
上の嫌がらせも困ったものね・・・
・・・
さ、ランチにしましょ!
頑張ったんだから奢ってよね!
仕方がない・・・奢ってあげますか・・・
ワタシこないだテレビで見た
カフェに行きたぁ~い!
いいわ・・・
「カフェに行きたい」
彼はそう言っているけれど、
当然、店の料理を食べることが出来ない
戦闘用機体は食品からの摂取器官を
持ちあわせてはいないからだ。
いつも私の頼んだ食べ物の写真を
撮って満足そうにしているだけだ、
彼が「ランチを奢って」というのは、
おしゃれなお店の食べ物を、見たいから
「食べているところを見せて」
と同意語なのである。
・・・美味しいわ、ここの料理
やっぱりー!よかったあ~
・・・
もぅ・・・
また、そういう顔して・・・
ワタシの事なら気しないでって
いつも言ってるじゃない
ごめんなさい
わ!もしかして!
インセクト駆除部隊の
隊長さんとブルーさんすか!?
すげー本物じゃん
そうだけど?
マジ!リスペクトなんすよ!
こないだのモンゴル高原での駆除作戦の
映像めっちゃシビれました!!
そう、ありがと
写真一緒にいいすか?
ワタシとアナタとお友達の
スリーショットでいいかしら?
え、隊長さんも・・・
いいかしら?
はい!
はい!
自分で言うのも変だけど、
私達は結構な有名人だ、
軍人ではない一般の人々からは、
「インセクトから人類を守ってくれるヒーロー」
だと思われているらしい。
一般の人々は部品のことを知らない
見栄えのいいように編集された小奇麗な映像を
軍が小出しにしてテレビ局に流しているのだ、
その映像は宛ら、戦隊モノ番組のようで、
現実味があまりない
日本がこんなに平和ボケしているのも
この現実味のない映像のせいかもしれない
ありがとうございました!!
さて、そろそろ帰りましょうか
・・・・ええ、そうね
あー・・・オーナーとシェフらしき人が、
期待の眼差しでこっち見てる・・・
私が言ってくるわ、
お礼だけでいいんでしょ?
いいのよ、私に任せてくれて、
アンタ、一番偉いんだから
ドッシリ構えてなさいって!
・・・・・・わかったわ・・・
結局、また、ヒーロー扱いをうけたので、
私とブルーはそそくさと基地内の宿舎に帰ってきた。
休憩時間を挟んだら、
報告書の山を処理しなければならず、
私とブルーはうんざりして顔を見合わせる。
そして、この報告書は私があまり行きたくない
ところへ直接持っていかなければならない、
実に気が重い
今はまず駆除で疲れた心を休ませる事に専念した。
第四話へつづく