『Re:』
第三話 「あの人のいるところ」
『Re:』
第三話 「あの人のいるところ」
少しの休憩時間をはさみ報告書を
作成し終えた私とブルー
その報告書を「あの人」がいるところまで
持って行かなくてはならない。
はぁぁ・・・憂鬱だわ・・・
「はーーーーい!入室していいよーーー!」
失礼致します。
よぉ!隊長!! 報告書か?
はい・・・
この人は「天海中佐」、私の上官にあたる人で、
豪快で情が深い為、周りからは大変慕われている。
私も彼には恩義がある。
8年前パワードスーツで駆除に加わった際に、
見方のスーツが整備不良で爆発を起こし、
近くにいた私の班は大きな被害を受けた。
爆発から一番近かった私は、酷く損傷し、
血の匂いに反応したインセクトの猛攻を受けた。
天海中佐のお陰で、駆除は完了、
しかし、私の体は爆発で体の半分以上が
吹き飛び、通常の手術では助からない
状態になってしまった。
そこで、私の半機械化に尽力してくれたのが
他でもない天海中佐だったのだ、
私は半分とはいえど機械の体を手に入れ命をつないだ
今回も死人は出ませんでしたが、
近年稀に見る粗悪品を支給されました。
整備・点検は今までよりも重点的に
行いましたが、時間差で装甲の一部が
崩れるように細工されていたようです。
うーん、ヘタすると駆除に出た全員が
死亡しかねないのによくそんなこと
するなぁ・・・
君達(半人半機)を差別する層にも
困ったもんだね・・・
半人半機の軍人が増え始めた頃
軍上層部には多額の資金を費やして創り出され、一般の兵士500人分の戦力に匹敵する半人半機のみで駆除を行わせ、生身の人間は一切駆除に関わらせない考えが生まれた。
その為、パワードスーツの粗悪品を秘密裏に
紛れ込ませ生身の人間を強制的に駆除に参加させない
強行手段に出ているのだ
半人半機が二人以上いれば、
パワードスーツが全て故障しても
全員救助出来るという考えらしい。
会議とかやっても俺の話に
聞く耳持たないのは
お偉いさんの悪い癖だよ全く
報告は以上です。
えーーーー?もう帰るの~?
はい、報告書もお渡ししましたし
あ!そうだー!君が推薦して事務方に入れた
男の子いたでしょ?
彼が何か・・・
彼の奥さんね~
すっごく美味しいケーキ作るんだよ
有名なケーキ屋に負けないくらい!
子供も三人いるんだけど可愛いんだよね~
奥さんに似ててさ~
まだ、仕事が残っているのですが・・・
あ、ごめんごめん、それでね、
どうしても推薦してくれた
人に会いたいって泣き付かれちゃってさ~
う・・・嫌な予感・・・
教えちゃった!君の推薦だってこと!
私が推薦したことは誰にも
口外しないでくださいとあれ程
念を押したのにですか?
ごめん!ホントごめん!今度の会議頑張って
粗悪品送り込ませないよう各方面に
根回しするからさ~許してよ~(泣)
・・・わかりました・・・
だってね~彼ね~会社クビになって一家全員路頭に迷う寸でのところを
軍の事務方に推薦して引き入れて助けてくれた人にせめてお礼だけでも言いたいってマジで泣くんだもん・・・
・・・そう・・・ですか・・・
あと、君の名前言ったら、
びっくりしたような顔して
益々泣くもんだから驚いたよ~
そりゃ、びっくりするだろう・・・
施設内の何処かで出会ったら、
泣きながら感謝されること覚悟しときなよ
はい、では、粗悪品の件
よろしくお願いします。
了解!
失礼しました。
あ!もう一つだけ!!
はい、何でしょう?
俺との結婚!考えてくれた?
以前も申しましたが、中佐の経歴に
傷がつきますので、お断りいたします。
いつもと同じだ(笑)
俺は経歴なんて気にしない!
待ってるよ!君の心が変わるまで!
あの人、本当に苦手・・・
会う度にいつもあの手のことを言うし・・・
其れよりも推薦の事だ・・・
せっかく秘密にしてたのに・・・
早く執務室に戻ろう・・・
待って・・・・・待って・・・・
ください!!
はい・・・
お久しぶり・・・です・・・
話聞いて早々に見つかるなんて・・・
推薦してくださった事・・・
中佐から教えていただきました・・・
白髪と少しのシワ以外は
あの頃と変わらないなあ・・・
貴女のお陰で、
自分も妻も子供も健康に暮らせています!
あ、私が大好きだった
あの笑顔だ・・・
先輩・・・
第四話に続く