翌日も私たちは出かけた。
昨日からひきかけていたクマオの風邪はひどくなっていた。
だるそうにしている。
「家でゆっくりしよう。無理に出かける必要ないよ」。
そういう私を制して、「大丈夫だから」。
顔には笑顔がない。
「不機嫌なのは体調が悪いから?」
「うん」
「じゃあ、やっぱり帰ろう」
「大丈夫やって言うてるやん!」
クマオは終始イライラしていた。
きっと肩もパンパンに凝っているんだろうなと助手席からクマオの肩に手を伸ばした。
「やめて!やめて!触らんといて!」
クマオは思春期の少年が母親に対して取るような態度で
私の手を振り払った。
え?何それ。
「なんでそんな言い方するの?」
クマオは一瞬ハッとした表情をしたが、何も言わなかった。