始めて覚せい剤を使ったのは20歳の時でした。

当時、自分は付き合っていた彼氏にフラれて落ち込んでいました。
毎日のようにヤケ酒をして、その辺で飲んだくれて荒れたような生活をしてました。


フラれて一週間くらいした頃だったでしょうか。

ふと、ヤケになってRUSH(ラッシュ)が使いたくなりました。

RUSHとは、興奮剤の一種のようなもの。液体状の薬物でビンに入っているのですが、これを鼻に当てて吸引します。

すると急に心臓がドキドキしてきて、一時的に快感を得られます。

といっても効果はほんの1~2分程度しか持ちません。連続で吸っていると少し気分が悪くなってくるので、あまり連続で、しかも大量にも吸えません。

中毒性はほぼありません。好きな人は好きですが、これに依存している人というのは見たことがないですね。昔は合法だったのですが、今は違法になってしまいました。


当時・・・自分が20歳の頃には既に違法となっていたのですが、それでもまだまだ買おうと思えば買えた時代でした。合法だった時代には二丁目でも売っていたという話を聞いたこともあります。

ちなみに今は輸入も厳しくなったので、その辺ではさすがに手に入らないのではないかなと思います。探せばどこかにはあるでしょうが・・・。


で、そのRUSHを持っている人を探そうと思って出会い系掲示板を使ったんですね。

すると一人の人からメールが。

「持ってるよ。今、ホテルにいるんだけどおいでよ」と言われて、近くだったので行くことにしました。


ホテルに着くと、そこには30代前半くらいの男性が。

「別にタイプじゃないけど・・・まぁ、いっか」と思いました。半ばヤケっぱちでしたね。

で、ふとホテルにある机を見ると、こんなものが置いてありました。


・謎の草

・謎の白い粉

・RUSHの小瓶


・・・。

RUSHは分かります。見たことも使ったこともあったので。

でも、その他2種類のモノは何だか分かりませんでした。

いや、まぁ、でもどう見ても合法のモノではないだろうとは思ったのですが。

「何これ?」と聞くと、謎の草については話してくれなかったのですが(どうせ脱法ハーブか大麻か、どちらかでしょうが)、白い粉については「アンナカって言うんだよ」と言われました。

「アンナカ?」と聞き返すと、「合法で気持ち良くなれるモノだよ。試してみる?」と言われました。

その時はアンナカが何か分からなかったので、素直に「やめとく」と断りました。

詳しくはこちらを参考にしてもらえばいいのですが、アンナカとは「安息香酸ナトリウムカフェイン」のこと。使用は合法です。



アンナカとは何か? ASKA容疑者「覚醒剤ではないと思っていた」
覚醒剤所持の疑いで逮捕された歌手のASKA(本名・宮崎重明)容疑者が警視庁の調べに対して、「覚醒剤ではなく、アンナカだと思っていた」と話していることがわかった。
リンク
www.huffingtonpost.jp


で、まぁ、アンナカが何か当時は知らなかったし、そもそも怪しそうだったので、使うのはやめました。

それからRUSHを使ってあんなこと、こんなことをすることになるのですが、次第に意識が朦朧としてきたんです。

RUSHを使ってそうなることはあり得ません。ちょっと頭痛がしてきたりすることはありますが、意識が朦朧としたり長時間に渡って快楽が続くようなものではないので。

その時には既に意識が朦朧としていて、何が何やら分からない状態だったのですが、今思えば恐らくはローションに覚せい剤が混ぜられていたのだと思います。

どの位の量が混ぜられていたのかは知りませんが、使ったことのない人間には少量でも十分効果を発揮します。

意識が朦朧としているうち、いつの間にかその男性は消えていました。

その後もボーっとしてフラフラとしていた自分なのですが、気が付いたら相手は戻ってきていました。


すると、手には注射器が。

もうこの時点では意識がはっきりしてないのですが、「使ってみる?」と言われ、それに対して「うん?・・・うん」みたいなことを言った・・・ような気がします。完全にキマっているのでもうフラフラだったので記憶も曖昧なのですが。

で、何が何だか分からないけど、とりあえず打たれました。

するとそこから急に心臓がドキドキしてきて、気が付いたら相手に押し倒されていました。

その辺からも記憶が曖昧なのですが、突然心臓が止まるかと思う位苦しくなりました。

「ちょっと・・・苦しい・・・」というと、相手はしばらくじーっと自分のことを観察していたのですが、何を思ったのか、タオルを自分の顔の上に乗せてきました。


するともっと苦しい訳です。

「何・・・するの・・・」と息も絶え絶えに言うと、相手は「チッ、つまんねーな」と捨て台詞のような言葉を吐いて去っていきました。



そこからもしばらくずーっとベッドの上でうなっていました。とにかく息ができなくて、苦しくて苦しくてたまらないのです。

完全なるODですね。一瞬心臓が止まったような感覚もあったし、下手したら死んでたかもしれません。

で、しばらくすると動けるようになったので、とりあえず水をたくさん飲みました。


しかしそこからは妙な妄想に苦しめられます。

「誰かが追って来る!」という謎の妄想が頭から離れないのです。

具体的に誰が追って来るか、というのは自分でも分かってないのですが、とにかく¨追って¨来るんです。

あまりにも怖いので、ホテルの屋上に逃げました。

それでも恐怖の感情は止まらず、「このままだとヤバい・・・飛び降りた方がいいのかな・・・」と思いました。

本気で飛び降りる気だったのですが、何とかそれは思いとどまり、再びホテルの部屋へ引き返します。

5階建てのホテルだったので、飛び降りてたら良くても大怪我か・・・下手すると死んでたかもしれませんね。

で、部屋に戻って友達に連絡して、迎えに来て貰いました。

何て電話したのかは覚えてないのですが、様子がおかしいことに相手も気づいてくれたのでしょう。大急ぎで来てくれて、家に連れ帰ってくれました。

「どうしたの?」と事情を聞かれたのですが、その時点でもイマイチ自分の状況が分かっておらず、ただ無言を貫いていました。

相手も「こいつ、自発的に薬使ったな」と思ったのでしょう。「もうやらないよね?」と何度も聞かれ、その度に首を縦に振っていたのだけは覚えています。


この事件が後に重大なことに発展するとは、この時は思いもしませんでした。

【一度目の逮捕の話】①初めての覚せい剤

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