ヒナタくんはベッドの脇に置いてあるゴムを装着する。
組み敷かれて、そそり勃った自身を入り口に押し当てて、ゆっくりと挿入していく。
処女ではないので痛みこそは感じないが、旦那のと比べて大きさがあるため圧迫感がある。
「大丈夫? 痛くない」
「う、うん……平気」
だんだん自分の身体にヒナタくんのものが馴染んでくる。
「動いていいよ」と促すと、ヒナタくんは少しずつ腰を押し付け、私の中を支配していった。
私は喘ぎ声が止まらなかった。
「ゆう可愛い。ほら、イケよ」
意地悪そうな笑みで私を見下ろしながら、ヒナタくんは首を軽く締めてきた。
「待って、やめて」と、彼の手を掴んで阻止しようとするが――。
「すごい締まってる」
そう耳元で囁かれ、その瞬間に私は我慢できずにイッてしまった。
「イッちゃったね。ゆう、イキやすいから攻めるの楽しい」
それから何度も腰を打ち付けられて、いかされた。
一回戦が終わった後もすぐに彼の身体は反応し、2回戦も。
「すごく気持ちいい。俺、ゆうとだったら何度でも出来るかも」
そう言って汗を垂らしながら、律動する。
私がこの子を選んだ理由は『純粋そうで良い子そうだから』だった。
しかし、実際は違った。彼は簡単にルールを破り、自分の欲望を私にぶつけてくる。
「君がこんな子だとは思わなかった……っ」
「キャスでは猫被ってたからね。嫌だった?」
「ううん……嫌じゃない」
それから、私はヒナタくんをひたすらに求めた。
誘われたからと言って、簡単に欲望に堕ちてしまうなんて、私も大概だ。
きっと私はヒナタくんが想像通りの『いい子』だったら夜も指名なんてしなかった。
純粋そうな笑顔の裏側にあるギャップに私は惹かれてしまっていた。
すっかり疲れ果てた私にキスをしながら、ヒナタくんはにっこり笑った。
「まだまだ足りない……いつか、ゆうとお泊りして、朝までヤりまくって、俺の新記録更新したいな」
想像して、私はドキッとしてしまった。
女風には時間コースの他に『お泊りコース』というものがある。
時間は8時間。値段は5万5千円に+で指名料が2回と交通費が入る。占めて61,600円だ。
今日は2時間コース×2で頼んでいるので、5万円程かかり、おまけにホテル代が2回掛かっている。
8時間もいられるなら、お泊りコースは安いかもしれない……と一瞬、心が揺れるが、私は既婚者だ。
「旦那がいるし、お泊りは難しいかな」
「そうだよね……俺、お泊りってまだしたことないんだ。だから初めてはゆうとがいいなって思ってて」
「まあ……いつかね。考えておく」
それから時間になったので帰りの支度を済ませて、ホテルを出た。
家に帰宅すると、腰に鈍い痛みを感じる。
(こんな風になったのは久しぶりかも……)
まだ旦那と付き合い立ての頃に朝まで6回戦くらいしたことある。
その時と似た身体のだるさを感じながらベッドに横たわっていると、ヒナタくんからDMがくる。
「ゆうちゃん、今日は昼だけじゃなくて夜も入ってくれてありがとう
ゆうの可愛い姿見られて、本当に幸せだったよ。また会えたら嬉しいな」
私もお礼のメッセージを返すと、ヒナタくんから「ねぇ、ゆうは縛られるの好き? 今度、縛ってあげるよ」と言ってくる。
(なるほどね。営業トークか……)
会っている時はお泊りで揺れそうになっていたくせに帰宅して現実に返った途端に私は冷静になる。
「SM講習受けたから言ってるの? オプション稼ぎ?」と可愛くない返しをしてしまった。
ヒナタくんからは「そんなんじゃないよ」と返ってくる。
それに適当に返しながら(まあ、次会うとしたら1ヶ月後くらいかなー……)と思っていると……
「ゆう、普通に可愛いから明日にでも会いたい」