ふいに距離を縮められてドキッとする。
「お風呂に入る?」
「うん。入りたい」
「講習で洗体習ったから、身体洗ってあげるね」
そう言われながら一緒にお風呂に向かった。
ヒナタくんは持参した折り畳みのバケツで一生懸命泡立てようとしてくれるが、それを全裸でやっている姿が滑稽で笑ってしまう。しかも、不器用なのかいくら経っても泡立たない。
「それくらいで十分だよ」
「わかった。じゃあ、洗うね」
講習で洗体を習ったと聞いていたので、てっきりエロい洗い方をされるのかと思っていたら
普通に身体に泡を付けて洗われたので肩透かしを食らってしまった。
「本当に洗体習ったの?」
「習ったって言っても泡の立て方だけだけど……」
「それは洗体とは言わなくない? 私が洗ってあげるよ」
私は自分の身体に付いた泡をヒナタくんに移すように密着する。
素肌を滑らせながら身体を洗っていく。
実は私は風俗経験があった。とは言っても、休職期間のほんの数ヶ月だけ。
ルックスが良いほうではなかったので、ほとんど稼げずにやめてしまった。
研修で習った通りに洗体をすると、ヒナタくんは照れて顔を逸らす。
(ちょっと可愛いかも……)
ヒナタくんの年齢は25歳。自分よりも8個も年下だ。
そんな若い男の子に対して優位に立って攻めるのが、なんだか楽しくなってしまった。
ヒナタくんを見つめると、自然に顔を近づけ、唇が触れ合う。
すると彼の身体は反応し、そそり立ったものを泡を使って滑らせながら手で愛撫する。
次第に彼の息が荒くなってくる。
(待て待て。これじゃ、私が一方的に襲ってるだけじゃん)
「あはは、ごめんね。ちゃんと洗えたし、身体流して出よっか」
「う、うん……」
相変わらず、ヒナタくんは言葉が少なく、お風呂から出る。
いつも通り、マッサージからの性感マッサージ。
彼の得意プレイはクンニらしく、とても気持ちが良かった。
しかし、驚いたのはこの先。なんと彼は自らパンツを脱いで、私の上に乗ってきたのだった。
彼の熱くなったものを私の濡れた割れ目に沿わせてくる。
いわゆる挿入の疑似プレイである「素股」という行為だ。
(え……この店では、素股までアリなの?)
今まで女風を利用してきて、ここまで際どいことをされたのは初めてだったので混乱する。
しかし、私はデリヘル経験者だったこともあり、挿入を躱しながらの素股プレイの講習で受けていた。
それを思い出しながらしていると、ヒナタくんは気持ちよさそうな顔をする。
「ねぇ……したくならない?」
「いや、ダメでしょ。本番は禁止なんだし」
「そこはちゃんと守るんだ。偉いね」
「偉いね、じゃないよ。そういうルールなんだからダメでしょ」
「でも、みんなしてくるよ。上に乗っかられたことだってあったし」
デリヘル嬢時代のことが頭を過る。こんな風にお客さんから「他の子はみんなしてるよ」だなんて言われて、迫られることもあった。まさか、自分が客側でキャスト側から誘われる時がくるなんて思いもしなかった。
「このまましちゃったら君が可哀想だからしないよ」
「なんで可愛そうなの?」
「だって……私が君の立場だったら嫌だもん。お客さんとするなんて」
「そんなことないよ。俺、ゆうちゃんなら全然良いよ。だって可愛いし。普通にヤりたい」
(おいおい。純朴そうな子だと思って選んでみたら、とんだヤリチンじゃないかよ!)
「君、まだ新人でしょ。こんな稼ぎ方と指名の取り方を覚えちゃダメだよ」
「そんなつもりはないよ。俺はただ、ゆうちゃんとしたくて……やばい、このまま襲いたい」
そこから押し問答を繰り返しているうちにあっちが抑えきれなくなっていくのがわかる。
年下の男の子から求められるのが愛しくなってしまった。
「わかった……じゃあ、いいよ」