レイくんは日頃から褒められ慣れているタイプのイケメンだとわかった。
少しナルシストの部分もあるが、それでも許されるほどに顔が整っている。
いつも通り、カウンセリングに入った。
「好きなプレイはある?」
「クンニかな?」
「じゃあ、性感多めにしていい? ゆうちゃん、Мそうだから攻めるの楽しそう」
「ふふ。それ、わかるんだ」
「わかるよ。ドMでしょ?」
「基本Мだけど、どっちもできるよ」
私も3人目のセラピストとなると、こうしたエッチな会話も自然にできるようになっていた。
お互いにシャワーを済ませて、ベッドに入る。
レイくんは私が着ているガウンを脱がせて、「肌綺麗だね」と褒めてくれた。
その言葉に少し照れながらも、リラックスしてマッサージを受けた。
オイルを使ったマッサージが始まると、レイくんは「オイルで濡れちゃうから、パンツ脱いでもいい?」と聞いてきた。
基本的にセラピストは脱がないものだが、特に断る理由もなかったので承諾する。
すると、彼は私をうつ伏せにした状態で素肌を密着させてきた。
(待って……このパターンは初なんだけど……っ)
思わず、心の中で叫ぶ。マッサージの段階でここまで密着されるのは初めてだったからだ。
背面に舌を這わせて全身リップをしていく。それから表向きにされて、口付けられた。
「ゆうちゃん。女の顔になってるね」
レイくんは艷やかな表情で見下ろしながらそう言った。
愛撫していく手が上から下へとうつり、あそこに舌を這わせる。
レイくんはゆっくりと、確実に私の敏感な部分を舌で刺激してきた。そして、舌先で軽く突かれると、あっけなくイってしまった。
「ゆうちゃん、めっちゃ感じやすいじゃん」
「レイくんが上手いからだよ。ありがとう、じゃあ……」
「何いってんの? まだ終わんないよ」
それから何度イカされたかわからない。
舌で愛撫されながら指を入れられて、上の方をこすられた。
そしたら今までに感じたことのない快感が押し寄せてきた。
逃げようとするも、レイくんに足を押さえつけられ、逃げ場はなかった。
「待って、もう、むり……」
「いいじゃん。もっと気持ちよくなってよ」
「ダメ、おしまい!」
そう言うと、レイくんは待てを言われた犬みたいな塩らしい顔になって止めてくれた。
「なんか指で上の方こすられたのやばかったんだけど、あれ何?」
「ああ、あれはボルチオだよ。ゆうちゃん、されたの初めてだったの?」
「うん……なんか、どうにかなっちゃいそうだった」
「可愛い。というか、イってる時の目がとろんとして、綺麗だなって思った」
すごいな、このイケメン。
息を吐くように甘い言葉を放ってきやがる。
と思った同時にレイくんの反り立ったそれが気になってしまう。
「触ってもいい?」
「いいよ」
触れると、彼のそれはさらに大きくなり、固くなる。
もっと彼を感じさせたくて、私は口に含んだ。
「やば……ゆうちゃんの口、めっちゃ気持ちいい」
私はそのまま彼を攻め続けたが、途中で「これ以上はダメ、イッちゃいそうになるから」と止められてしまった。残り時間が少ないこともあり、帰り支度を始めることにした。
「ねぇ、レイくんはいつデビューするの?」
「多分、5月にはデビュー出来るはずだよ」
「じゃあ、デビューしたら呼ぶね!」
「本当に? じゃあ、俺の初めてのお客さんになってよ」
あまりにも上手かったせいで、レイくんがデビュー前の新人であることをすっかり忘れていた。
(もしも、デビュー日の最初の予約を取ったら初めてのお客さんになれるんだ)
その時、彼はどんな反応をするのだろうと思うと心が踊った。
いい取材になりそう、と私の職業柄の好奇心が疼く。
「わかった。約束する。お店のホームページ見張っておくね」
「うん。ゆうちゃん、これからも俺のこと見ててね」
彼が本気で言ってたのかわからないが、私はその約束を本気で守ろうとしていた。
この時、私はすでに「風俗中毒」の一歩を踏み入れていたのかもしれない。
作品作りのための取材と言い訳しながらも、女風を心から楽しんでいたのだから。