これは遠い昔のお話。
あるところに毎日のように遊んでる一人の野狐がおりました。
そんな野狐を天高くから見ていた子供の狐。
最初は物珍しげに見ていた子供の狐でしたが、時折見せる野狐の悲しげな顔を見て「この野狐を幸せにしてあげたい」と神様に頼み込みました。
神様からの許可をもらいさっそく行動に移る子供の狐。
森の中を歩いていた野狐を見つけて「そっちじゃないよ」と声をかけました。
野狐は辺りをきょろきょろ見渡しましたが誰もいません。
「こっちだよ」と子供の狐は風を吹かせて野狐をある場所へと導きます。
導かれてたどり着いた場所には見目麗しい白狐がおりました。
子供の狐は野狐と白狐を引き合わせたかったのです。
やがて二人は恋に落ち、子供の狐は二人の子として生まれました。名は春雷。
時は経ち、一時は母親と離れて父親としばらく暮らしておりましたが、とても優しい仲間たちに恵まれ幸せに暮らしました。
そして役目を終えた春雷は母親の元へと帰っていきました。
もののけの子供たちに絵本を読みきかせるマキノ。少し目が潤んでいた。
子供たちを見送っていると「今日は冷えるな」とリク。
「ええ、温かいものでもお作りしますね」
窓辺には貝の瓶詰めオブジェが二つと白狐の親子の仲睦まじい絵があった。
―完―
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