ー時を戻そうキラッー
どうも…我の名はラズー…ラズー・ユンベルトと申す。トードル合衆国大統領である。齢は50過ぎ…家族構成は妻と子供が1人…む、そこまでは言わなくてもいいか。
「大統領、お帰りになりますか?」
「ああ…ボディーガードも撤収させろ。」
「かしこまりました。夫人と御令嬢もお呼びしてきます。」
この会議には毎回妻と子供…一人娘のメイジーと参加しているが…
「お待たせいたしました。」
「もう帰るの?父さんのケチ。どうせ帰っても家庭教師しか家にいないくせに。」
「お前がまともに学校に行っていないからだろう!」
…とまあ、この様に娘が最近反抗期…と言われるものになったらしい。娘のメイジーは今年で17…
平均的に反抗期になりやすい年齢らしいから一応心身ともにきちんと成長しているのだろう。それは喜ばしいことである。

ー家に到着ー
「おかえりなさいませ。」
「これ、洗濯しといて〜」とメイジーはメイドに自分が着ていたカーディガンを押しつけた。
「メイジー、一人で洗濯機に運ぶことくらいできないのか?」
「うるさいわね!メイドがいるから渡しただけじゃない!」
王族や貴族だったら許されただろう…ただし我は一般人からかけあがった大統領であり、生活資金は全て国民の税金。いつ税金を払う側にまわるかわからないから、ある程度自立はしてほしい…
「メイジー、父様はあなたが将来自立できるようにとおっしゃっているのですよ。できることから一つずつやらなくてはいけません。」と妻も言ってくれた。
すると少し不満そうな顔をしてメイドからカーディガンをひったくって歩いて行った…

ー書斎ー
「今日もお疲れ様でした」と言って妻がコーヒーを持ってきてくれた。
「ねぇ、あなた?メイジーともう少しちゃんと話したらどうでしょう。」
「ちゃんと、というのはなんだ?今のままではいけないのか。」
「ちゃんと、というのは…自分の考えていることをきちんと伝えるということです。いつもあなたは思っていること、考えていることもこれっぽっちしか口にだしていないでしょう?口数が少ないのは危険ですよ。」
思っていること…そうか、メイジーに全て伝わるわけではないのか。
「だが…今から言ったとしても今は目すら合わない状態だ。修復は難しいだろう…」
「大丈夫ですよ、あの娘は立派に育ちましたもの。こちらから歩み寄るまでです!」
…柄ではないが、ここはチャンスだ。致し方ない、我の本領発揮といこう…

ラズー・ユンベルト①

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