コミックコミックの連載陣で生まれた派閥は大きく分けて三つ。
一つ目はとにかく編集に気に入られるため異常なほど媚を売り、一方でライバル作家を蹴落とすためにある事ない事悪口を言いまくる人たちだ。
編集にはフレンドリーに接しており、SNSなど読者の目に触れる部分でも優しく明るくいい人を演じていた。
影のいじめや嫌がらせは、絶対表には出さない。
編集者とも作家同士もお互いに仲が良く、読者の目には「仲良しで楽しそうな作家さんたち」と思われていただろう。
確かに「仲良し」かもしれないが、その実態は中学校で集団いじめをするいじめっ子グループがそのまま大人になったような存在だった。
二つ目はその媚売り作家のいじめターゲットにされている人。
このグループは作品人気で言うと下位に入るものの、仕事に対する考えは誠実で真面目な人が多かった。
決して媚を売ることで特別扱いされようとはせず、真摯に作品作りに取り組んでいた。
それ故にいじめターゲットにされても反撃できず、やられっぱなしで黙っているしかない存在だった。
この派閥はこの派閥でSNSで繋がる、グループLINEのメンバーになるなどして繋がっていたようだが、集団でネチネチと愚痴、文句、不平不満を言うだけで具体的な行動はしない人たちだった。
そして三つ目はどの派閥にも所属せず、問題を感じたら一人で考え一人で行動し、誰にも頼らず一人で解決しようとする人だ。
良くも悪くもコミックコミックでの仕事にはドライに接しており、そこまで連載や漫画家としての地位、肩書にこだわらない人。
これは明確には各々個人で行動しているため、派閥というわけではない。
それぞれが独立した考えを持っており、仲良しごっこで編集や作家と繋がろうとは考えていない。
連載が終わったらキッパリ漫画家の仕事を辞めてもいいし、あるいは他社で仕事を始めてもいいと割り切っていた。
一つ目のいじめっ子グループはこのタイプにも攻撃していたが、「やられてもスルー」の人が多かった。
あえて言うなら、私はこの三つ目のタイプだったと思う。
他人を蹴落とすためにいじめをする大人とは、仲良くなれるはずがなかった。
かといって二つ目のグループのように、いじめられている立場でグチグチと恨み節ばかり言うのも生産性がない。
傷の舐め合いをするためにこの人達とつるむつもりもなかった。
コミックコミック内で起こった人間関係のドロドロは、主に一つ目の派閥いじめっ子グループと二つ目の派閥いじめられっ子グループによって起こっていた。