無料漫画サービス、コミックコミック(仮)がいよいよオープンした。
私はまずユーザー感覚でサービスを使ってみた視点で、担当の秋田さんに要望を出した。

「作品のサムネイルが上から下に表示されていますが、これでは下に行くほど不利になってしまいます。毎日ローテーションで違う作品が上に表示されるなど、どの作品も平等になるように改善できませんか?」

秋田さんからの返事はこうだった。

「すみません、上に行くほど『軽い作品』となっています。表示方法については開発部にも伝えておきますので」

この「軽い作品」とはどういう意味なのか?
内容の問題なのか、それともボリュームや容量なのか。いまいち理解できなかったが、今のところ改善はされないようなのでこれ以上質問はしなかった。

連載が始まり秋田さんとのやり取りを続けたが、基本メールのみのせいか時折やり取りに上手くいかない感覚を味わった。
例えば原稿について。
私は漫画家志望ではないため、基礎的なものを学んでいない。
加えて不慣れなフルカラー連載という事もあり、毎回の原稿制作には苦労していた。

しかし、秋田さんから技術的な面、ストーリー展開などのアドバイスは一切貰えなかった。
規定である15コマ以上を守りつつ、週一で入稿できるペースを守るとなるとストーリーの組み立て方が難しくなる。
15コマだとコンパクトにまとまるが、短いショートストーリーのようになってしまう。
かといって一般的な雑誌連載と同じボリュームだと、一人でフルカラーを描くのは無理がある。

そこでまず、ページ数に換算すると18~20ページほどのボリュームで一話分を作ることにした。
丸々一話分のネーム(下書き)が完成したら、それを15~20コマ程度になるよう分割する。
第一話(前編・後編)、第一話(①、②、③)という感じだ。

区切るポイントを不自然ではない、「つづく」にしてもおかしくない位置にすれば、読者としてもさほど気にならないだろう。
この方法なら、どうにか無理なく続けられた。
しかし、問題は不自然ではない位置で区切ることで、微妙にコマ数に差が出てボリュームの違いが生じてしまう事であった。

ある話の原稿が15コマ以上でかつ区切りのいい、ちょうど最後のコマにオチが来る場所で区切ると、普段より少々ボリュームが少なくなってしまう事があった。
自分でも若干の少なさは自覚していたが、かといってこれ以上コマ数を増やして分割すると、いまいちオチが付かない中途半端な区切りになってしまう。

私はコマ数の多さよりも漫画としての読みやすさを優先して、ボリュームが少なめでもラストにオチを持ってくる区切りを優先した。
もちろんコマ数は既定の15コマを超えているので、問題そのものは生じていない。
問題は生じていないが、秋田さんから「手抜きだ」という指摘が来た。
「どうせこの程度でいいと思って適当に描いている」というのが、秋田さんの意見だった。

私は毎回一話をトータルで見ると20ページ程度のボリュームで描いている。
ただ、ストーリーを区切る位置によって20ページを「7、7、6」に分割することもあれば、「8、7、5」に分割してしまう事もある。

今回はたまたま20ページを「8、7、5」で分割したうちの「5」のボリュームだったので、秋田さんには手抜きだと思われたようだった。

秋田さんは私がこのような手法で原稿を描いているとは知らない。
そもそも聞こうとすらしないからだ。
この時こちらから「私は一話描いてからストーリーを分割している」と説明すればよかったのだが、この頃私はいちいち言うのも言い訳がましいように思っていた。

ただ「申し訳ございません」と謝るしかなかった。
この辺りから少しずつ秋田さんとのやり取りでストレスを感じるようになってきた。

10.上手くいかない担当とのやり取り

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