担当者が決まり会社から大まかな仕事内容も聞き、後はスケジュールに沿って原稿を仕上げるだけとなった。
元々やっている在宅の仕事もあるので、一日あたりのスケジュールと遅延なく入稿できるペースもしっかりと決めた。

なお、一般的なページをめくる漫画とは違い、スマホで縦にスクロールする漫画(WEBTOONと言う)の場合ページ数の概念がない。
その為、ページ数ではなくコマ数で指定される。

規定は15コマ以上。
ページの概念がある場合、1ページにつき●円と原稿料が計算されるが、15コマ以上であれば20コマでも30個までも原稿料は変わらないという。
ただし、多少はボリューム、クオリティ、人気面などでインセンティブが発生するとのことだった。

さて、アプリリリースを前にして、秋田さんから一度作家を集めた決起集会を開くと連絡が来た。
と言っても難しい集会ではなく、食事をしながら交流する食事会のようなものだ。
場所は都内本社。

私は悩んだ。とにかく人見知りなので、極力他人と顔を合わせたくない。
普段在宅ワークをしているのも、他人と会いたくないからである。
それに都内まで出かけるのも、正直億劫だと思った。

また、それ以外の理由として、あまり他の作家に会いたくないと思ったのもある。
他の作家と直接顔を合わせたら、たとえタイプが合わない人であっても付き合いを続けなければならない。
社交辞令としてSNSをフォローし合ったり、気を使ったコメントを発信したり……。

私は極力人間関係を広めず余計な人付き合いはしたくないタイプなので、この決起集会は非常に面倒なものであった。
更に行きたくない気持ちを後押ししたのが、担当である秋田さんからの一言である。

「山田さん決起集会は来てくれますよね?会社で山田さんについて話したら会って話してみたいという社員が沢山いましたよ」

何をどう話したのかわからないが、まだ会ったこともない人達から関心を持たれるのは気持ちのいいものではなかった。
特に人見知りかつ他人との交流を嫌う私にとって、言われれば言われるほど行く気をなくしてしまった。

結局決起集会は体調不良を理由に欠席した。
自分以外の作家は何名か集まったそうだが、この集会で繰り広げられた作家と会社の動向が、後にこの仕事が更に嫌になる原因となる。
具体的にどのような内容なのかは、またのちの機会に話すとしよう。

08.決起集会に行かなかった理由

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