●相談内容
放牧中の牧場が火事なり、叔父さんの動物園に預かる事になった。
慣れない場所で不自由はないか?
問診の結果→モテモテになりたい・・・・。
過去に類をみないどうでもいい相談をしてきた、現役競走馬のサラブレッド(オス)のシューティングスタ。
私はあまりのセクハラっぷりに一度撤退して態勢を整える為、情報収集する事にしました。
(えっとシューティングスタ中央競馬所属の競走馬・・・。中央ってなに?)
(地方競馬って言うのと何が違うの?ああ。要はテレビで中継してるのは中央競馬って事ね。野球で言う一軍みたいな感じだね)
(シューティングスタ・・・3歳・・・戦績2戦1勝2着1回・・)
(すごくない?)
(競走馬の引退後・・・なるほどね。戦績がよければ種牡馬になって子供をたくさん作れるのね。・・・ちょっと待って・・それは一握りでしょ?それ以外って・・・乗馬、誘導馬・・・・行方不明・・処分・・)
(馬肉って事かな?・・・いや、サラブレッドは筋肉質だから食用には向いてない・・・え?)
(戦績が悪いと彼女も作れないの?)
(なんか複雑だな・・・でもそれが現実なんだよね・・)
私は昨日受けたセクハラの様な発言をすっかり忘れてしまい、とりあえず動物園に向かいました。
『あ、シュー・・・・元気してた?』
『おお友美ちゃん!!』
『相変わらずかわいいね』
『・・・・・・あーハイハイ』
(ああそうだった・・・)
『とりあえず昨日の話しだけどさ・・・』
『おう!』
『まずは競争にたくさん勝てば、引退したらたくさん色んな女の子と子作り出来るらしいから、とりあえず頑張りなよ!』
(私、さらっととんでもない事言ってるんですけど・・)
『そうなのか?』
『うん。一番すごいのだと年間200頭以上、種付・・・いや女の子といちゃいちゃできるみたいだよ』
『ブルルルルン!』
シューティングスタは鼻息を荒くして興奮しています。
(て言うかあなたまだ3歳でしょ?人間で言うと16歳くらいらしいけど発情しすぎじゃない?)
『まあそう言う事だから、頑張ってね』
『友美ちゃん。もしあまり勝てなかったらどうなるんだい?まあ大体予想はつくんだけどな』
突然寂しそうに話すシュティングスタを見て少し悲しくなりました。
『・・・・・うん。まああまり言いたくないけど・・』
『そうか・・』
『まあ仕方ない。これも運命と言う奴かな。走る為に僕は生まれてきた様なものだな』
『・・・・・・』
昨日、散々セクハラ発言をされた事と、今のギャップに私は泣いてしまいました。
『ど、どうしたんだい?友美ちゃん?』
『グスン・・ごめんなさい・・なんか私・・・私・・・』
シューティングスタはニッコリ笑いかけてくれました。
『要は勝ち続ければ良い訳だろう?常に全力疾走していれば結果は結びついてくると思うんだがどうだい?』
『うん・・・グスン・・・そうだね』
『よし!これからの僕を見守っていてくれ!君を泣かすような結果にはしない』
(なんか人間だったら、確実に惚れてると思う・・)
『うん!私応援してるから。出るレースは全部チェックする!』
『ありがとう!ところで今日はスカートじゃないのかい?』
『え?』
『せっかく友美ちゃんのムチムチした太ももを見れると楽しみにしていたんだがなあ』
『やっぱりあんたなんか負けちゃえ!』
(わかるよ・・・私を気遣ってくれているんだよね。ありがとね)
私はシューティングスタの顔を優しく撫でてあげました。気持ち良さそうにニッコリしてくれていました。
その後私は叔父さんには特に不自由はない、レースで頑張れば将来モテモテになれるって話したと結果報告をしました。
そして私も中学3年生になった夏も終わろうとしていた頃・・・
『シューティングスタGⅡ③連勝!』
のネットの記事が目に入りました。
(春のG1では負けちゃったけど、あんたならGⅠいつか勝てるよ!頑張れ!)
今回は泣いちゃいましたが、決してかわいそうと思ってるわじゃなんだからね・・・。
本当の意味でスターになってね。大好きだよ。シューティングスタ。
て言うか私の初恋は馬って・・・おかしいでしょうか?