●相談内容(叔父より)
変なニワトリがいるから話を聞いて欲しい

①雨の日になると外に出せと騒ぐ
→解決済み
ただ水浴びが好きなだけ。

①午後になるといつも空を見上げている
→現在聞き取り調査中
好きな人を待っている?

とにかく自分勝手で腹が立つ理論を展開したあげく、口ばしで私のおでこを攻撃し私のベットに座っているニワトリ(メス)のニワッチ。

『そのお方は鳥の仲間なの?』

『あたりまえじゃない!優雅に広げた黒い翼で飛んで行った姿はとてもかっこよかった!』

(黒い翼?カラスかな?)

『えっと、要は午後になるとそのカラス・・ああ、多分そのお方はカラスって言うの。カラスを待っているわけね?』

『呼び捨てにしないで!カラス様でしょ?』

『・・・・・・・』
(もうこの話、早く終わりにしたい・・)

『初めて会った時に色んな話をしてくれたの!ほら、私は飛べないでしょ?だから綺麗な景色の話とか、私の知らない外の世界の話を聞いてすっかりとりこになっちゃったの・・』

『・・・・ああ、じゃあそのカラ・・カラス様を好きなんじゃなくて、外の世界の話に興味を持ったって事?』

『は?あなた人の話ちゃんと聞いてる?』

『・・・・・・』
(なんなの一体・・・ほんと訳わかんないよ・・)

『もちろん外の世界の話も楽しかったけど、そのカラス様の甘い声に私は心臓がバクバクになってしまいました・・・って何言わせんのよ!!』

『・・・・・あーわかったよ。それでいつも午後になるとそのカラスがやって来てお話してるの?』

『・・・・違うの。その日1回だけで、それっきり来ないの・・』

『あーなるほど。一目ぼれってやつだね』

私は見せかけスキル【恋愛マスター】を発動。しかしそれは無残にもすぐにかき消されました。

『恋愛経験もなさそうなあなたに、私の気持ちがわかるの?適当な言葉で片付けないで』


『・・・・・・』
(ハー・・誰でもいいからこの状況から私を助けて下さい・・・)

『それであなたはどうしたいの?』

『もう一度お会いして話がしたいの・・』

『・・・・・』

(要はそのカラスを見つけるって事ね)
(でも、それは無理かな・・)
(あれだけ数のいるカラスの中から、ニワッチと話したカラス1羽を見つけるのはちょっと・・)
(聞き込みしようにも、私カラスは頭がいいから苦手なんだよな)
(小さい頃、何度も口げんかで泣かされて帰った記憶がある・・)

『ごめんなさい。ちょっと私の力でもそのカラス様を見つける事は出来ないよ。数が多すぎるし』

『・・・まあいいのよ。私が好きで待ってるだけなんだから。そもそもあなたに恋愛相談なんてした私がバカだったのよ』

『・・・・・』
(たしかに恋愛経験ゼロだけど、そんなに何度も蒸し返さなくても・・)

『まあでも、もしカラス様の仲間と話す事があったら聞いて見るよ。とりあえず調査続行って事でいいかな?』

『フン!まあ期待しないで待ってるわよ』

『一応叔父さんには今日の話は伝えておくけど、あまり心配させちゃ駄目だよ』

『わかったわよ・・あなたもいい人見つかるといいわね』

(なんか私が恋愛相談もちかけたみたいじゃない。もういいよその話は・・)

『じゃあ叔父さん呼んでくるから待っててね。急いで帰らないとカラス様来ちゃうかもしれないしね!』

『あら、あなた実はずいぶん気が使えるのね。まあ好きな相手が出来たら相談しに来なさい』

『・・・・あーはい。わかりました』


翌日

私は近くの河川敷の土手の大きな木でカラスに大声で呼びかけました。

『ねえねえ!あなた達の中で探してる仲間がいるんだけどー!!』

その集団の中の1羽が返事をしてくれました。
『今忙しいから、今度にしてー!あと、びっくりするから急に話かけて来ないでー!』

『わかったー。じゃあニワトリとお話しした事ある仲間がいたら教えてねーごめんねー』


とりあえず、話は通しておきました。

その後のニワッチはと言うと、毎日専用のタライを設置してもらって楽しそうに水浴びしてるそうです。午後になると空を見上げるのも、少しだけになったそうです。
(て言うかニワトリって砂浴びじゃないの?)

なんか本当にツンデレなニワトリだなって改めて思いました。でも女としては恋愛経験がある分私が負けているのでしょうか?

とにかく用が無い限りニワッチには会いにいきません。
どうせ恋バナになって私が説教されるだけだから・・・。

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