――そして、決着の時が訪れた























アルド

楽しめたか?

























 
あと数秒のうちに息絶えるであろうドラゼルに
 俺はそう問いかけた

























ドラゼル

……最高の、時間だった




















ニィ、と








今際の時を迎えたリザードマンは、
 めいっぱい遊んだ後の子供のように微笑んで――




















ドラゼル

冥府でまた会おう、我が強敵よ



















































ゆっくりと、草原の中に倒れていった。













アルド

ああ、いずれまた
























しばし、黙祷する






































アルド

厄介な生き物だよな、俺達

















殺しておいて何を身勝手な、と思わないでもないが





俺は、ドラゼルにほのかな親しみを覚えていた












 

アルド

アイツは、俺と同類だった













刃を交わすうち、直感で、本能で、そう理解していた











アルド

闘争という形でしか、
 自分ってヤツを表に出せない















言葉じゃ誰とも理解し合えない
 救いがたい不器用者なのだ、と
















アルド

でも、だからこそ、俺達は通じ合っていた


























切り結ぶことで、これ以上ないほど語り合っていた




















アルド

結局、俺が勝てたのは














ドラゼルの俺に対する理解より、
 俺の、ドラゼルに対するそれが深かったからだろう











アルド

アイツは予想していた
 俺に、尻尾での追撃を読まれていることを















俺は確信していた
 ドラゼルが宙に舞った矛を利用することを








けれども





 



アルド

アイツは、俺が足元の木刀を使うことに
 思い至らなかった



















 ドラジルは、俺を理解しきってはいなかったのだ


















アルド

だからアイツは、負けて死に――































俺はまたも、この地上に取り残される


























































第五話 老け騎士、強敵の冥福を祈る

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