紗菜

くんかくんか

たった今起こったことを(略)
引っ越したばっかりの俺んちで黒髪文学少女風の女子高生が俺のズボンを頭から被っていた。
しかも俺のパンツをくんかくんかしていた。

紗菜

よーし次はエロ物件探そう!

さらにまだ開けてもいない段ボールの中身をひっくり返してエロDVDを床にぶちまけやがった。
しかも女優さんのおっぱいのサイズ順に並べやがった。
そして感想を一言。

紗菜

なにこのおっぱい星人。キモい……

何を言ってるかわからないと思うが、俺にもわからねえ。
他人様の家で人の最高機密を勝手に漁ったあげくにキモいとな!

バカなの! 死ぬの?

で、当然怒ったわけですよ。

だいすけ

ざっけんなてめえ!
おっぱい見せろ。
そして揉ませろ!!!

つい本音が口に出てしまったわけね。

Q 巨乳だったの?

A いんや。服の上からガン見した感じは普通。

男なんてね、おっぱいだったらなんでも大好きなのよ。
何か文句ある?

紗菜

おっぱい星人だあああああぁッ!

指をさすなこの野郎。
了解を得ずに揉むぞてめえ。
でね。
実行に移したわけね。

プロジェクトコードおっぱいを。

俺はおっぱいを求め手の伸ばした。

結論から言おう。……ええ。すかったとも。見事に。

手がすり抜けたんだよ。
おっぱいを。
おっぱいなのに!
だってヤツも俺のズボンを頭に被って手には俺のパンツを握りしめているのね。
物理的接触は可能なはず。
ところが俺のゴッドハンドはするりと胴体を抜けたんだよ。
これはもう確信したね。

紗菜

あのわたしゆ……

だいすけ

ついに俺はス○ンド能力に目覚めたのか!!!

俺はかすかに震える自分の手をそっと見た。
時を止められるようになったらどうしよう。

そしたら俺、おっぱいをもんでー。おっぱいをもんでー。
おっぱいをもむんだ。(死亡フラグ)

紗菜

あのワタシ幽霊です!

だいすけ

ジャカシャー!
貴様も俺のスタ○ドなら黄金長方形の軌跡を描いてパワーアップする練習とかしやがれ!!!

俺は吐き捨てる。
あ、幽霊?
うるせー! こちとら幽霊なんぞ見慣れてるんだよ!
そんな面白くもないオチなんぞ認めるか!

つか、おっぱい!

もうね。
その時の俺の頭の中にはおっぱいのことしかなかったのね。

だいすけ

おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい!

おっぱいをひたすら連呼する俺。
これでたぶん時間を止めてオラオラとかできるに違いない!!!
と思ったらスタ○ドが高い声を発した。

紗菜

えい!

同時に俺の目に何かが突き刺さる。
指だ。それが俺の目を押してくる。

だいすけ

ノー!!!

目を押さえて悶える俺。
なんかエロい。

だいすけ

目が目がァッ!!!

紗菜

もー! 幽霊ですって!!!

だいすけ

ぐああああああッ!
例え我がここで朽ち果てようとも第二第三のおっぱい星人が!!!

紗菜

ちょっと聞いてくださいよ!
私は幽霊!!!

だいすけ

おのれ人類めえええええッ!
だが我は滅びぬ!!!
うぬらの心に闇がある限り何度でも何度でも蘇ってくれるううううッ!!!

紗菜

聞けコラァ!

俺の顔にストンピング。
しかもそのまま踏みつける。

だいすけ

あん♪(びくん)

つい……いやマジでホントにたまたま声が出ちゃっただけだから!

そんな俺を虫けらでも見るような絶対零度の視線。
そして一言。

紗菜

ド変態……

しょぼーん。
女の子って理不尽。

紗菜

で、この部屋の地縛霊の紗菜です。

だいすけ

はい紗菜お嬢さま。
生まれてきてごめんなさい。

テンションが元に戻った俺。
心理的賢者タイムのお時間です。
うん。太陽があまりも眩しいから……

もう寝よう。

紗菜

オンオフ激しい……ですね

だいすけ

はい……生まれてきてごめんなさい

紗菜お嬢様のありがたいお話によると、彼女は1980年にこの部屋で死んだ。

1980年って大正時代だっけ?

イヤ……違うか。
昭和にすると昭和17年?
なんだ戦中か。
え? 違う。

あー今から35年くらい前……
その時に15歳として50歳。
なるほど。

だいすけ

あー。俺たちの親の世代か

紗菜

てめえぶっ殺すぞ!

目が本気と書いてマジでした。
なにこの子。超怖い。

紗菜

それでこの部屋から出られないし、仕方なくBL置いてけーって……

あ!
俺今納得した。
すげえ納得した。
北区赤羽と言えど東京23区内で風呂トイレエアコンネット付き家賃2万円はおかしいと思ったんだ!!!

だいすけ

ちょっと待て……部屋に付いてきたこのPCは?

俺は部屋に置いてあったタワー型パソコンを指さす。
明らかに最新型だ。

紗菜

えっへん!
私の私物ですよ。
これがないとネット通販できませんから。

だいすけ

どうやって支払ってんの?

紗菜

このカードと宅配ボックスで……

クレジットカード!!!
ヤバいニオイしかしない!!!

だいすけ

っちょ! ……犯罪?

紗菜

ち! 違いますよ!
大家さんに『座敷童です』って言い張ったらくれたんです

大家ああああああああッ!
あんた騙されてる!
幽霊に騙されてるよ!!!
歯ぎしりする俺。
う、うらやましくなんてないんだからね!
そしてある事に気づいた。

だいすけ

本は?

紗菜

全部電子書籍ですよ!
ほらこれブックリーダー。

そう言ってタブレット端末を俺に見せる。
俺より情報家電を使いこなしているだと!!!

紗菜

ということで紗菜ちゃんです!
よろしくね♪ 同居人

幽霊が笑った。
つか同居決定だと!!!

これが俺と紗菜の出会いである。
この出会いのせいで……俺は数々の厄介ごとに巻き込まることになったのだ。

だが、その時俺は真剣に考えていた。
どうやって幽霊のおっぱいを揉もうかと。
もちろん卑怯な手は使わないで。

……って……あれ?
おかしくね?
ちょっと待てよ……

だいすけ

なんで俺のズボン頭に被ってパンツの匂いかいでいたんだ?

幽霊が露骨に目をそらす。

紗菜

いえね……
すっげー久しぶりに生の男の子を見たら……
どんな男の子と(検閲済み)してるかなって気になって……
気がついたらパンツを手に……

男どうしで(検閲済み)してるのが前提か……
クソッ! 腐ってやがる!!!
……だが。

だいすけ

もしかして俺があまりにも美少年すぎて……パンツをくんかくんか……

もしかしてモテ期。
俺に初めて訪れたモテ期。
幽霊相手でも嬉しいじゃないですか!!!

紗菜

いや拙者、ヤンキーっぽい顔は守備範囲外ゆえ。
先ほどは乱心しただけでゴザル

(´・ω・`)

(;ω;)
ほろり

大学生と腐った幽霊

facebook twitter
pagetop