さぁ、物語を語ろうか。
さぁ、物語を語ろうか。
おとぎの国へ。
01:はじまり
夏のある一日
ぼくはとある田舎に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんの家に初めて1人で遊びに行きました。
ぼくの家はものすごく高いビルがニョキニョキ生えた街で、こんなに緑がたくさんの場所に来るのは新鮮でわくわくとドキドキで胸がいっぱいになりました。
ゆっくりと緑のトンネルと抜けると森と草原に囲まれた屋根裏のある深緑色の屋根の2階建ての家が見えてきました。
わぁ…っ
はやく、はやくという気持ちに駆り立てられ玄関へ小走りで向かってると1人のおじいちゃんが立っていました。
おお、クリフか。
いらっしゃい、ゆっくりしていきなさい。
おじいちゃん、こんにちは!
今日から一週間よろしくお願いします!
おじぎをしながら言いました。
しかし周りを見渡しましたが、おばあちゃんの姿が見えません。
ねぇ、おばあちゃんはどこにいるの?
ばあさんはクリフが来るってはりきって美味しい料理やお菓子を作っておるよ。
わぁ、とっても楽しみ!
ぼく挨拶してくるねっ!!
ああ、そうだな。
わしもばあさんに渡すものがあるし一緒に行こう。
色んな野菜や果物が入ったカゴを見せながらキッチンへ向かったので、ぼくもおじいちゃんの後について行きました。
キッチンに入ると美味しそうな匂いが広がりました。
おじいちゃんはおばあちゃんに野菜と果物の入ったカゴを渡していました。
おばあちゃん、こんにちは!
今日からよろしくお願いします!
おや、よく来たねぇ。
クリフの好きなものをたくさん作ってるから出来るまでちょっと待ってておくれ。
おばあちゃんは嬉しそうに言いました。
嬉しいな!楽しみにしてるね!
あ、ぼく荷物を置いて家の中を見てきていいかな?
ええ、ぼくの部屋は2階の突き当たりだからね。
ご飯ができたら呼ぶからいってらっしゃい。
ああ、そうじゃ。屋根裏には入ってはならぬよ。
おじいちゃんがふと思いついたように言いました。
どうして?
ぼくは不思議に思い、首をかしげて尋ねました。
整理中でな、色んなものが散らかっていて危ないからじゃよ。
うん、わかったよ!じゃあ、ぼく行くね!
ぼくは部屋に荷物を置いて、色んな部屋へ探検にいきました。
そのうち屋根裏へ続く階段の前にたどり着きました。
そっと覗いてみると少し扉が開いているのに気づきました。
おじいちゃんは入っちゃいけないって言ったけど・・・
人とは不思議なもので【入ってはいけない】と言われると入りたくなるのです。
ぼくは好奇心に勝てず、そっと屋根裏の扉を押しました。
部屋の中は少し埃っぽく確かに色んなものが散らかっていました。
キョロキョロと眺めていると窓の前に一つの宝箱があるのに気づきました。
なんだろう?と手にかけるとカタリと音がなった気がしました。
鍵はかかっていなかったので、そっと開けてみると小さな箱に入った懐中時計が入っていました。
わぁ…綺麗だなぁ
ぼくは魅入られて、いつの間にか手にとっていました。
するとキラッと瞳が光り、歯車が回りはじめました。
ぼくはびっくりして見つめていると、ビュウッと強い風が吹きました。
あまりに強い風だったので、目をギュッと閉じました。
風が止んだので目を開けると驚くべき光景が広がっていました。
屋根裏にいたはずなのに、草原に立っていたのです。
見たこともない植物や蝶、宝石のように光る木の実、目に映るものは驚きの連続でした。
ここはどこだろう・・・
カチャリと手に何か当たる感触があったので、見てみると懐中時計が転がっていました。
これってあの懐中時計…?
うーん、とりあえず持っておこうかな。
これからどうしようかと見渡していると、羽の生えた小さな人が飛んできました。
~♪
よう・・せい・・・・?
ぼくがびっくりして見つめていると、妖精はニコッと笑いはこう言いました。
ようこそ!おとぎの国へ!
続