魔王はリア充を滅ぼしたい!!!

リブート

埼玉県K口市(異世界)

別名:修羅の国

みなさまこんにちは。
魔王でございます。
実は私、何度か魔王やってるんですね。
前世で。
コンティニューとか二週目にステータスとアイテム持ち越しとか、まあ、そういう感じです。
便利ですねー。
努力を続けなくてもいいんですよー。
難易度超イージーですねー。

ただし職業は魔王固定ですけど。
職業選択の自由を要求する!!!
勇者に聖剣でサクッと刺されたりとか、勇者にゴアアって丸焼きにされたりとか。
私の前世は常にそんな感でした。
つい先ほども同じです。
黒塗りのベ○ツじゃなくて、馬車が料亭から出てきた私たちに突っ込みました。

勇者ヤー公

おどれ命(タマ)獲ったらー!!!

XX組のヒットマンじゃなくて、勇者が聖銃トカレフで私を蜂の巣にしました。

魔王

おどれボケエ!!!

私は急いで逃げますが、簡単に追いつかれました。
魔法使いなので体を全く鍛えてなかったのです。
通信空手の講座でも受けてればよかった!
空手ビームとか忍ームとか……

そんなくだらないことを考えていた私の背中に勇者がヤクザキック!
倒れた私を、ヤクザ……じゃなくて勇者が私を踏みつけました。
間髪入れず背中から勇者による聖剣ドスブレードの一撃。

かいしんのいちげき!

魔王

いでええよー!!!

虫の息の私にトドメとばかりに究極魔法シュ☆リューダーンによる爆発が。

はいサクッと死にましたとさ。
めでたしめでたし。

魔王

……

魔王

責任者出てこい。殴るから

さすがにキレた私ですが、時すでにお寿司……じゃなくて遅し。
光が見えてきやがりました。
アレですねー。
転生間近的な。
さーよーおーなーらー……

みなさんおはようございます。
全世界の大きいお友達のアイドル!
魔王ちゃんでございます。

気がついたら私、人間になっていました。

……責任者出てこい!
神的なヤツ。
体育館裏で殴るから。

魔王ちゃん

まあ、神の存在丸ごと信じてませんけどね。

でね、でね。
すごいことを発見したんですよ!
人間さんって一人見つけたら、近くに三百人はいるんだって!
ちょー驚きました。
すげえ繁殖力!!!
そして理解しました。

人間さんって、リア充の集団なんですね。

あ、そうそう。
私、1000年ほどお一人様やってます。
恋人?
なにそれおいしいの?

魔王ちゃん

フフフフフフ……

魔王ちゃん

リア充爆発しろ!

魔王ちゃん

爆ぜろ!!!

魔王ちゃん

死ね!!!

魔王ちゃん

ぜいぜい……

そうそう。
あのね魔王ちゃんね。
今度は中世ファンタジー世界で将軍の家の息子に産まれたの!
今回は組長の息子とか独裁者の後継者……じゃなくて魔王じゃないの!!!
生まれながらの勝ち組ですね。
ひゃっほー!!!
でね、魔王ちゃんね。

魔王ちゃん

調子こきすぎてヒャッハーしたら故郷を追放されたの……

今ね。
ド田舎に馬車で護送中なの。
実はね。
魔王ちゃん……無神論者なの。
んでね、神学論争で口げんかになった司教さんの家に、自ら開発した爆竹投げこんだら、相手の家の壁破壊しちゃった。
しかも相手が、王族よりも権力使い放題のすんげえ権力者なのよ。
それで、魔王ちゃんド田舎の領主って名目で追放されちった。

魔王ちゃん

テヘペロ♪

まあいいや。
趣味の園芸でもして適当に暮らしませう。
薬草とか薬草とか薬草とか植えて。
前世で金ないときに自分で漢方薬作って飲んでたんですよー。
雑草引っこ抜いて。
えへへー。

あと発明とかー。
ミサイルとかプラズマ砲とか作って遊ぼっと。
あと衛星兵器。
お金かかるから税金横領するところから始めなきゃ!
テヘペロ♪

シルヴィア

アレックス。なに恐ろしいこと口走ってるのだ……

同じ馬車に乗っていたゴスロリ娘が私に言いました。
おっと全部口に出していたようです。
彼女はシルヴィア。
この国のお姫様です。
ちなみに今の私の名前はアレックスです。
なんでお姫様が私と同じ馬車にいるのか……それは……

魔王ちゃん

もうやだなあ。同じ魔王じゃないですか。固いこと言うのなしですよー♪

クスクスと笑いながら私は言いました。
はい。
彼女も元魔王です。
なんでしたっけ?
ああ、そうそう。
剣王ガラハッドでしたっけ。
サムライ魔王なんだそうで。

魔王ちゃん

腕力ない女の子に生まれたせいで全部パーですけどね。

シルヴィア

余計なお世話なのだ!
お前も魔法使えないくせに!

実は私たち、サブ職業が入れ替わっているんです。
(もちろんメイン職業は魔王です)

私の前世のサブ職業は魔法使いです。
※マップ兵器

彼女の前世はサムライ。
※マップ兵器

今の私は脳筋で魔力なし。
彼女は異常な魔力だけど非力。
お互い積み上げたものが全部パーでやんの!!!

魔王ちゃん

ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!

シルヴィア

うるさいのだ!!!

シルヴィアが私をポコポコと殴ります。
全然痛くありません。
あ、そうそうなんで彼女が同じ馬車にいるかですね。
いやね彼女。

魔力暴走させて街を壊しちゃったの。

んで、危険人物はまとめて管理した方が楽じゃね?
って誰かが言い出して私と一緒に追放。
王族はスペアがいっぱいいるからこういうときも楽ですねー。
ひゃっはー!!!

シルヴィア

せっかく一生お部屋に閉じこもって寝て凄そうと思ったのに……すべて貴様のせいなのだ!!!

泣きながらシルヴィアが私を叩きます。
そんな八つ当たりなどきーかーぬーわー!!!
まったくこのダメ人間は仕方ありませんねー。

魔王ちゃん

今から引きこもればいいのです。
なあに引きこもるのを邪魔するものは処刑してしまえばいいのです。


サムズアップ。
私は最高に優しい気持ちで言いました。
いや感動の台詞ですねえ。
私最高!!!

シルヴィア

そうやって暴力に頼って同じ事を繰り返してるから勇者が殺しに来るのだ……

私の言った感動的な台詞は、バカの心無い一言で打砕かれました。
シルヴィアはそのまま無言になり、私もそのまま黙りました。
言い返せなかったのです。
ええ!全くその通りですよ!

そんな脳みそスッカスカの魔王トークをする私たち。
魔王二人が追放された先で、何が待ち受けているかなんて、このときはまだ考えてもいなかったのです。

魔王様の周回プレー

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