シオンの遺体は検視のため運ばれ、
楽屋周辺では鑑識班が現場を調査していた。

会場はショーの急遽中止を受け、
シオンの死を知ったスタッフたちが忙しく

撤収作業に追われ、混乱に包まれていた。

そんな中、ジョセフとポテトは他の
警察官たちと話し合いを続けていたが、
ワトリーは独自に聞き込みを始めた。


ワトリー

シオンの楽屋にお弁当を持っていった猫はどこにいるのだ?

慌ただしく働くスタッフに声をかける

お弁当?誰かシオンさんにお弁当を持っていったやついるか?

ルーカス

ボクです

その猫はルーカスという名の新人スタッフ。

普段は雑用を任されているらしい。

ワトリー

お弁当は何時に
持っていったのだ?

ルーカス

確か11時頃に
楽屋へ持っていきました

ワトリー

その時、楽屋には誰かいたのだ?

ルーカス

いえ、シオンさん1匹でした

ワトリー

シオンの様子はどうだったのだ?

ルーカス

特に変わった様子はありませんでした。携帯を見ていました

ワトリー

楽屋を出たあと、不審な声や猫を見かけたのだ?

ルーカス

いえ、すぐに会場の方へ行って
別の仕事をしていたので特に何も…

ワトリー

分かったのだ

その時、ジョセフとポテトが話し合いを終え
こちらにやってきた。

ジョセフ

もう聞き込みをしているのか?

ワトリー

うん。早くエイミーを見つけないといけないのだ

ジョセフ

そうか・・・
(ワトリー焦ってるな)

ポテト

お連れしました

2匹の猫を連れてきた。

アイドルのサリー、そして
メイク担当のイザベラだった。

ジョセフ

じゃあ、お話を聞きましょうか

ワトリー

ルーカスにはもう聞いたのだ

ワトリー

メイクさんはどうなのだ?シオンに何か異変があったはずなのだ

イザベラ

いいえ、特に何も。いつものようにメイクをして、その後は出て行きましたよ

ワトリー

サリー、君が楽屋に入った時、
シオンの様子はどうだったのだ?

サリー

いつもと変わらないわ。お互い『頑張ろう』って話をして、私はすぐに出たの

ワトリー

そのあと、不審な猫を見たのだ?

サリー

特には見てないわ

シオンは殺されていたのだ!何かいつもと違う違和感とか、
様子が違うとか、何でもいいから思い出してほしいのだ!

ワトリー、落ち着いて…

ワトリー、落ち着くんだ。友人のエイミーがいなくなって、気持ちは分かるが、焦ってはだめだ

ワトリーはジョセフの言葉を聞きながらも、
心の中で焦りを押さえつけられない。

エイミーに疑いがかかってしまう前に、
何か手がかりを掴まなければ
ならないと感じていたのだ。

サリー

エイミーがいなくなったの?

うん。シオンの楽屋から出て、その後行方が分からないのだ

サリー

そう、エイミーとシオンは
仲が良かったの。エイミーは
モデルとして、シオンはアイドルとして、二匹でトップを
目指すっていつも言ってた。
そんなエイミーがシオンを殺すなんて、ありえないわ。

ワトリー

ありがとう、サリー。ボクも
エイミーを信じるのだ

イザベラ

あの…関係ないかもしれませんけど、私が楽屋に入ったとき
シオンさん
まだお弁当を食べてなかったんです。『出演前に食べた方がいいよ』って声をかけました

ワトリー

いつもは出されたお弁当は食べているのだ?

イザベラ

はい。でも今回は大きなイベントだったので、緊張しているのかなと思って…

ワトリー

確か、お弁当は床に落ちていて、散らかっていたのだ

ルーカス

袋に入っていたから、食べようとして出したんじゃないかな

ワトリー

サリーが楽屋に入った時はシオンはお弁当を食べていたのだ?

サリー

いいえ食べていなかったわ

ジョセフ

サリーが楽屋を出て20分後に
エイミーが訪ねてきている。
20分あれば食べれるはずだろ
しかし弁当に口をつけた様子はない。フォークは袋に入ったままだったぞ

ワトリー

ジョセフ、シオンの携帯はあったのだ?

ジョセフ

それが、
どこにも見当たらないんだ

やっぱりエイミーが持ち去ったのかな

ワトリーはその言葉を聞くと、胸がざわついた。

エイミーがシオンの携帯を持ち去っていた
可能性がある。

エイミーは何かを知っているのか?

それとも何かに巻き込まれてしまったのか?

謎は深まるばかりだったが、

ワトリーは決してエイミーを
疑うことはできなかった。

ボクはエイミーを信じるのだ。
犯猫を見つけ出して、真実を突き止めるのだ

つづく

登場ネコたちの紹介です

警備員デイビスはまだ登場してませんが
第6話で登場します。

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