モゾモゾと蠢く触手は、冷たく滑らかな
感触でフクの両手と両足に絡みつき、

ゆっくりと締め上げていった。

まるで生きているかのようなその動きは

無機質であるはずのデジタル空間の中でも、
異様なまでの現実感を持っていた。

フクは必死に抵抗しようとしたが、
身体は完全に拘束され、動くことができない。

うわぁあ!気持ちわる!

冷たい粘液が、

ぬるりとフクの全身を覆い始めた。
触手に付着したそれは、

不気味な光沢を帯びていて

体に張り付くたびにじんわりと
体力を削り取っていく。

なんだ?
プロテクターが溶けていくぞ!

フクは混乱しながらも、

その状況の異常さに気づき始めた。
ゲームの中での攻撃とは思えない、

不快感と屈辱感が同時に押し寄せ、
恐怖がさらに増していく。

シンシアさん

チーン

シンシアは、もう戦う余力すら残っていなかった

その間にも、触手はフクの太ももを
じわじわと這い上がり、肌にじっとりとした
粘液を塗りつけていく。

その動きはまるで意図的で、ひどくゆっくりで、
緩慢な拷問のようだった。

そして、とうとうフクの履いていた
パンツも粘液で溶け始めた。

うそだろ
下半身が丸出しになっちまう

圧倒的な力と不気味な粘液に全身を包まれた
フクは、次第に体力が減っていく

もはや希望など見えない
絶望感に沈んでいった。

触手は容赦なくフクの下半身を這いずりまわり、
フクの大事な部分を責めだした

守はいくらゲームとはいえここまですることに
驚愕していた、目の前の分身が触手によって
犯されていく、

やめろ、
そこはダメぇ!!

その時、
突然――真っ白な光がフクの視界を満たした。

モンスターの触手がフクの体を

締め付ける力が緩み、その怪物はまるで
時間が止まったかのように動きを止めた。

光は徐々にモンスターを覆い尽くし、

まばゆい閃光と共に、跡形もなく消滅した。









暗闇の中に現れたのは、サイバーパンク風の
魅惑的な女性戦士だった。

彼女の黒髪は光をまとい、
美しいオーラを醸し出していた。


女性アバターは、フクとシンシアに近づくと、
素早い動きで回復のエネルギーを放出した。

青白い光が二人の体にまとわりつき、
徐々に力が蘇っていく。彼女は無言のまま、


呪文のような言葉を短く唱えると、
突然、周囲の景色がぐるりと変わった。




次の瞬間、

フクとシンシアは元のギルドに戻っていた

フク

シンシアさん、助かったよ

シンシア

フクさん良かったよ~

シンシア

でも、女の子をあんなところに置いてくとは、ろくな奴じゃないね

フク

本当ですよ、あのモンスターがいることを知っていて、あのビルに連れていったんですよあいつ!

シンシア

でも、助けてくれた人は
かっこよかったですね。

フク

ええ、いつかお礼が言いたいです

心の中に、彼女の優しさと、彼らを救った
ヒーローの姿が深く刻まれていた。

翌朝、守は昨日のゲーム体験を思い返していた。

モンスターの触手が自分を絡め取り
粘液で装甲が溶けていく

あのリアルさ――

いくらゲームとはいえ
あまりにも生々しかった

あのゲーム、いったいどうなってるんだ……

最初の警告で
「暴力的なシーンがあります」とは書かれていた。

しかし、まさかあそこまで過激だとは
思ってもいなかった。



無意識のうちに、

ふと紗良のことが頭をよぎる。

まさか、紗良ちゃんもあんな
ゲームやってるなんてこと
ないよね…

や、やめよう、何を考えているんだオレは…

その考えが頭を巡る中、足元にフクが寄ってきた。
守はふっと現実に戻され、

猫のフクに餌をあげる

フクが夢中で餌を食べる様子を見つめながら、
またゲームの世界へ戻ることを少し考え始めていた。

つづく

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