薄明かりの下で草むらは静かに息をしていた。
フェリックス、アイリ、そして意識を取り戻したミミちゃんは、その緑の海に身を隠していた。背後で研究所は炎に包まれ、夜空を赤く染め上げている。遠くから人間たちの声が、草むらに届く

実験室の猫だけでいい、早く連れていけ!

人間たちは焦りながらも慌てず、ガラスケースに入った猫たちを車に積み込んでいた。フェリックスは身を乗り出し、救出に向かおうとするが、
アイリに腕を掴まれる。

アイリ

だめよ、あなたまで捕まっちゃうわ。

フェリックスの目には怒りと
憤りが渦巻いていた。

フェリックス

しかし...

その時、車がエンジンを唸らせ、ゆっくりと動き出した。フェリックスの鋭い爪が地面を掻きながら、悔しさを抑えきれずにいた。

アイリ

...?!

アイリ

フェリックスあれを見て!!

フェリックス

!!

突如、車の前方に一匹の猫が現れた。
その勇敢な姿は、影から光へと
飛び出してきたかのように見えた。

ね、ねこが!

いいから行け!

フェリックス

アレクか?!

アレク

仲間を裏切った罪、ここで清算させてもらう

うわぁああ!!

車のフロントガラスに飛び乗り、一瞬で人間の視界を奪った。驚いた人間の運転手は、慌ててハンドルを切るが、すでに遅し。車は大きく揺れ、
ついには横転してしまった。

アイリ

今よ!

フェリックスとアイリはそのチャンスを逃さず、車に駆け寄り、猫たちの救出作業に取り掛かった。散乱するガラスケースの破片をかき分けながら、彼らは一匹また一匹と仲間たちを
解放していった

炎の光が彼らの活動を照らし出す中、フェリックスは衝撃でぐったりしているアレクを抱えた、アイリは他の猫たちを安全な草むらへと誘導した。

その夜、研究所の炎は多くを飲み込んだが、
フェリックスたちの勇気と絆は、
闇を切り裂く一筋の光となって輝き続けた。

フェリックスは、夜の帳が深く降りた中、ケガを負ったアレクを抱きかかえながら、
足早に研究所を後にした。背後には、
アイリが率いる、恐怖と混乱に怯える
猫たちの小さな群れが続いた。

アイリ

フェリックス、これからどうするの?この猫の数ではまた人間に見つかるわ。

フェリックス

私の住むキャットタウンに向かいましょう

アイリ

でもこんな時間では
門は開いてないわ

フェリックス

きっと大丈夫です

フェリックス

さあ、みなさん付いてきて。ここからは全力疾走です!

フェリックス

アイリ、ミミちゃんを頼む。私はアレクと一緒に行きます

アイリ

任せて

アイリはミミちゃんを連れ、猫たちの先頭に
立ってキャットタウンへと誘導した。
星々が彼らの道を照らし、
夜の静けさが彼らの全力疾走を見守る中、
猫たちは希望に満ちた逃走を続けた。

やがて、キャットタウンの門が見えてきた。フェリックスの言う通り、門は開いたままだった。
そこには、管理長とワトリーが待っていた。

管理長

来たぞ!

ワトリー

フェリス!!

ワトリーはフェリックスを見つけると、
かけだした。フェリックスと一緒に
アレクを管理局の中まで運んぶと、
ワトリーの目には涙があふれていた。

よかった…また会えたのだ

ワトリーはフェリックスに抱き着いた。
フェリックスはワトリーを優しく抱きしめ返し

フェリックス

ああ、帰ってきたよ

その瞬間、キャットタウンは再び希望の光に包まれた。フェリックスたちの帰還は、ただの奇跡ではなく、彼らの不屈の精神と絆の証だった。
そして、その夜、キャットタウンでは
彼らの勇気と友情を讃える物語が、
新たに語り継がれることになった。
つづく

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