ヴィクターは座ったまま、腕を組んで
フェリックスとワトリーを見下ろした。

ヴィクター

私は経営者だ、経営者は何を求めると思う?

ヴィクター

利益だよ、あんたに情報を渡して私に何の得がある?

ワトリー

お、お金が必要なのだ?

ワトリーがおずおずと尋ねると、
ヴィクターは大声で笑った

ヴィクター

おまえらみたいな貧乏人の小銭を狙うとでも?

フェリックスは額にしわを寄せ、真剣なまなざしでヴィクターを見つめ返した。

フェリックス

どうしろというのですか
違法行為には協力できません

ヴィクター

そうだな、あんたも知ってるよなこの街の警察官ジョセフ。

ワトリー

知っているのだ、
すごく感じが悪いのだ

ヴィクター

最近妙な噂を聞いてな。宝石や時計を売りさばいて儲けているらしい。あの警察官の給料でそんな事ができると思うか?

ヴィクター

しかもその宝石類の出どころは不明だ。裏での取引をしているらしい

フェリックス

それがいったい何だというのです

ヴィクターは冷ややかに笑い、
背もたれに深くもたれかかった。

ヴィクター

まあ、聞け。この裏社会で私の縄張りを荒らすのは許されない行為だ。ジョセフの実態を調査して欲しい

ヴィクター

私の持ってる情報と引き換えに
引き受けてくれるよな?

フェリックスは一瞬躊躇したが、
やがて決意の表情を浮かべて
ヴィクターに答えた。

フェリックス

仕方ない。あなたに協力することは不本意だが、やるしかなさそうですね。

ヴィクターは満足げにうなずき、
名刺を取り出した

ヴィクター

取引成立だな。ここに『ルビー』というメスのネコがいる。協力してくれるはずだ。

フェリックスはその名刺を受け取り、
名前を口にした

フェリックス

ルビー...

つづく

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