フェリックスは深く椅子に腰を下ろし
眉間にしわを寄せながら重たい声で言った。

フェリックス

あの手紙の内容からすると、
人間界に詳しい者かもしれない。

ワトリー

あの手紙を見て人間界に行けると思いこんだミミちゃんは、管理局の門まで行ったのだ

フェリックス

犯人の目的はなんでしょうか。

フェリックス

誘拐であれば、身代金の
要求があっても
おかしくないのだが...

ワトリー

他の2匹が姿を消した後も、犯行を思わせる者からの接触は
一切なかったのだ。

フェリックス

人間界に私たちを連れていく理由が何かあるはず。

ワトリーの目がぱちくりと瞬く。

ワトリー

た、食べるとか...

フェリックス

食べるためなら、
優秀な猫じゃなくてもいいはず

フェリックス

犯人は優秀な猫だけを狙った。

そして、フェリックスはため息をつきながら
静かに立ち上がる

フェリックス

もう1匹、会わなければいけない猫がいますね。あまり会いたくはないですが…

彼の声には、迫り来る困難への
覚悟が滲んでいた。
つづく

pagetop