午後の柔らかな日差しの中、フェリックスと
ワトリーは、リリーちゃんとミミちゃんが通う
中学校の校門前に立っていた。学校はちょうど
終わりのベルを鳴らし、生徒たちが帰宅の途に
ついている最中だった。そんな賑やかな光景の中、彼らはリリーちゃんの姿を目にした。

ワトリー

りりーちゃん!

りりー

ワトリーくん

フェリックスも礼儀正しく挨拶を交わし、
少し真剣な表情で言った。

フェリックス

こんにちは、
ちょっとお話しいいですか?

りりー

はい

ワトリー

またたびパンを買ってきたよ。
一緒に食べよう。

りりー

わぁ、私またたびパン大好き!

3匹は近くの公園のベンチに腰を下ろした。
フェリックスは暖かいカフェオレをリリーちゃんに渡し、ゆっくりと質問を始めた。

フェリックス

ミミちゃんはあなたから見て
どういう存在でしたか?

リリーちゃんは少し遠い目をしながら、
温かな思い出を口にする。

りりー

ミミちゃんは本当に太陽のような明るさを持っていて、誰もが彼女のことを好きでした。ただ輝いているだけで心が弾む、私がいつも見上げる憧れの存在。

フェリックス

小学校から仲が
良かったそうですね

りりー

はい。学芸会ではミミちゃんが
ピアノを、私がバイオリンを
弾きました。あの時はとても楽しくて、中学の学園祭でも一緒に
演奏しようと約束していました。

フェリックス

学園祭で、演奏は実現したのですか?

フェリックスの問いに、
リリーちゃんは首を横に振った。

りりー

いいえ、私はバイオリンを
やめてしまったので...

フェリックス

学業に専念するためですか?

りりー

はい

リリーちゃんは悲しそうに答え、
フェリックスは続けた。

フェリックス

実はあなたのお父様にお話を
伺ったんですよ。とても教育熱心なお父様ですね。中学を卒業したら、違う猫の国へ留学されるとか。

りりー

はい...

フェリックスは慎重に言葉を選びながら、
さらに深く探った。

フェリックス

申し上げにくいのですが、
お父様はミミちゃんのことをそれほど評価していない様子でした

フェリックス

お嬢さんを遊びに誘ったり、
よく分からないアイドルの
コンサートへの誘いが、迷惑だと感じているようでした

りりー

知ってます

りりー

パパがミミちゃんのことを
よく思っていなかったことを。

フェリックス

でも、あなたはミミちゃんとの
友達関係を続けた。
お父様の反対を知っていても。

りりー

はい、だって私にとって
かけがえのない友達だから

涙を浮かべながら、リリーちゃんは続けた。

りりー

ミミちゃんがいなくなって
とっても悲しいんです。

ワトリー

親友が突然
いなくなったらつらいのだ

ワトリーはそんなりりーちゃんの側に寄り添い、
その言葉は、失われた親友への
共感が込められていた。

りりー

ワトリーくん...

つづく

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