登場人物:QE(葵・茜)

とある山奥……

日の光は燦々として、葉の重なる天井がずっと高くに見える。
おやつには遅く夕餉には早い。

槌を振り下ろしては汗を拭い、また振り下ろす。
丈夫な布を土に汚して、紐できつく結んで、まだ終わらない。

その様子を、ふたりの女性がじっと見ていた。
じっと、じっと見ているだけ、その視線だけで槌を振る腕に焦りが募る。

いつか、打ちつけるような硬い音が止む。
山は、客人を歓迎するかのように音を包み込んで、どこかへやってしまった。

山は共犯者だ。山が言ったから、こうしているのだ。


山はきっとこう言った。……「孤独な旅人よ、暗くなる前にテントを張りなさい」

……ご苦労さん なかなかいい腕だった

は はひっ その……できれば早く帰……

あ?

なんでもありません!
用事があるのでっ失礼します!

おい 逃げるな!

ぎゅっ

……茜 追っかけちゃダメ

相手が逃げたから つい…… 追いかけたくなるだろ


葵は首を横に振る。

……本末転倒

ふたりは、テントを張ってくれたプロデューサーの背中を見送った。

今日はふたりバーベキューの日。
思いつきがカレンダーに記されたことはない。

にゃーん

今日は猫缶に限りがある
大事に食べろよ

にゃおーん

……魚釣りでもするか

きゅる きゅるる

小リスさん……
……ピーマンなら食べるかな?

ささっ

あっ 行っちゃった……


ふたりバーベキューの日である。

 

~続く~

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